あんたは知らなくて良い事

「…ごめん…別れよ…」

「え?どうして、そんなこと、言うんだい…?」

「だって…あなた…でしょ?」

「っ…また、…バレちゃったか…」

「まさか、…今までの子達も、そうやって、別れてきたの…?」

「…そうだよ…」


皆、僕が…いや、私の正体を見抜いて

振ってくる…


「なんで、女って、言わないの…?」

「それは……知らなくて、良いよ

誰にも言う気は無いから…」

「そっか…」

「…僕が女って、事…皆には秘密にしてくれるかい…?」

「そこまで言うなら…」

「有り難う…ごめんね…」

「うぅん…此方こそ…またね。」


「はぁ…どうしろってんのよ…」


そっと腕の傷をみる

俗に言う、「リストカット」とか言うやつの傷跡だ。

あんな親だ、気づく筈ない

でも…蒼太は…

「気付けば、心配…かけちゃうだろうな…」


だから、隠さなきゃ…


「転校したのにも、納得してなかったみたいだし…私のせいなの、謝れてないし…ごめんね…蒼太…」

腕を ギュッ…。と握っては彼の笑顔を浮かべ、謝る。


この前だって失敗した…

あの時の、蒼太の顔…凄い、怒ってた。

分かる、だって、姉だから…


「素直に女であっても罵られ、傷付けられ。

かと言い、男と偽ってもこうして幸が逃げていく。

…なんなのよ…」


ゲラゲラゲラ…


「っ…」


『その見た目で女なの?キッモ』


「やめて…」


『ちょっと、憂七ちゃんの事、無視しよ?』


「やめて…!」


『みて、かわいそ~ww』


「やめてって!!!」

「…憂七先輩」

「っ?!」

みら、れた、…?

「…どうしたんだよ、姉ちゃん」

まずい…まずい…

「…、そ、蒼太、君…どうしたんだい…?」

「芝居、良いから、今は俺と姉ちゃんしかいないから」

「……分かったわ…」

「で、どうしたんだよ」

「…なんでも、ない、わよ…」

「そんなに叫んでてなんでもない訳ねぇだろ馬鹿。」

「っ…ごめん、なさい、…」

「ぇ、ぁ…そこまで、本気で、言ってない…俺こそ、ごめん…」

戸惑ってる…今がチャンス…

「っ…先生、呼ばれてるから、また、後で、!」


蒼太の腕をはらって私は逃げた


あんたは、いや、あんたもだれも、


何も知らなくて良いから

何も知らないで、何も言わないで


誰も私に、聞かないで…哀れまないで

同情しないで、みないで、関わらないで


独りにして…

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