夢工場
蝶々屋
第1睡 テレビの夢
あなたは映画館にいます。
シアターは満席ですが、あなたは真ん中のいちばんいい席に座れています。サイダーとポップコーンも持っています。
すぐに上映が始まります。
最初に映るのはどこかのニューススタジオです。右上に「日本一のマジシャン来日!」というテロップが出ています。
スタッフたちの拍手を受けながら、悪魔の仮装をした女の子がスタジオに現れます。
女の子が羽織っていたマントを脱いで床に敷くと、マントの下から大きな黒い宝箱が生えてきます。
女の子が宝箱を開けると、スライム状のライオンが出てきます。
女の子が3人のコメンテーターに、この生物は各々のイマジナリーフレンドを可視化したものだ、と説明します。
その証拠としてコメンテーター1人1人に生物をスケッチさせたところ、3人とも全く違うものを描いていました。
あなたは自分のスケッチを隣に座っていた観客のものと見くらべてみましたが、確かに隣の人は羽毛の生えたトマトを描いていたので、あなたは女の子の言葉を信じます。
その後も女の子のマジックショーが続きますが、あなたは音量が小さいと感じます。
ですが、あなたはリモコンを自転車のカゴに置いたまま忘れてきていました。
リモコンを探すため、あなたはシアターを出てエントランスを探索することにします。
塩バターの匂いがしたので、ポップコーン売り場に向かいます。
バスタブくらい大きなフライヤーが、熱々のポップコーンで満杯になっています。どうやらリモコンはここにあるようです。
ポップコーンを冷ますレバーが床に取り付けられていますが、どちらに倒せば冷ませるのか、あなたには分かりません。
しばらくすると、レバーの隙間からトウモロコシの草が生えてきて、どちら側にも倒せなくなってしまいます。
仕方がないのでリモコンは諦めて、あなたはシアターに戻ることにします。
シアターの扉を開くと、その先はトウモロコシの森になっています。
リモコンを見つけるため、あなたは森の奥へと入っていきます。
あなたは森の奥で女の子と出会います。映画に出ていたマジシャンの女の子です。服装から表情までそっくりそのまま同じです。
その子に近付くとキャラメルの匂いがしたので、あなたは急いで逃げ出します。
森の中であなたはとても速く、滑るように走ることができます。速すぎて上手く曲がることができないほど速いです。
振り返ると、女の子は壊れた人形のように手足を震わせながら、棒立ちの姿勢のまま真っ直ぐあなたを追いかけてきます。
森の中はずっと暗いので、遠くに見える駐輪場の電灯だけを目印にあなたは走ります。
あなたは走ります。
女の子も走ります。
あなたも走ります。
ずっとずっと走って、あなたはようやくテレビ局の駐輪場にたどり着きます。
自転車のカゴからリモコンを取ると、自転車はバラバラに崩れて、塩バターのポップコーンになってしまいます。
あなたはポップコーンを1粒掴んで、すぐ後ろまで迫っていた女の子に投げつけます。
女の子が倒れた隙に、あなたはリモコンを持ってテレビ局の中に駆け込みます。
ニューススタジオにたどり着くと、女の子がショーの続きをしています。
あなたは靴を脱いでスタジオに入り、女の子にリモコンを手渡します。
女の子は大喜びして、あなたにマジックショーに加わるよう勧めてきます。
あなたは断りますが、女の子は羊の衣装を持って走り寄ってきます。
番組スタッフもアナウンサーもコメンテーターも、同じ衣装を持って迫ってきます。
あなたは慌ててスタジオから飛び降り、元いた席に座り直します。
あなたが席に座ったことで、ニューススタジオはただのスクリーンに、女の子はただのキャラクターに戻ってしまいます。
あなたはもう一度初めから映画を見直そうとしますが、どこかで火災報知器が鳴っていることに気付きます。
あなたは火災報知器を止めるために、座ったまま天井の方に手を伸ばし……
手を伸ばし……
目覚まし時計をのアラームを止めました。
おはようございます。
夢工場 蝶々屋 @1ra8ta10bu4
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。夢工場の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます