第26話 番外編
姉の手は私よりも小さい。
そして冷たい。
冬が終わったばかりの春。
節約のために暖房をつけていない。
触れる姉の手が冷たくて、だけどそれ以外の部分は熱くて、姉の手を敏感に感じてしまう。
「お姉ちゃ、やっ…」
「陽、かわいっ」
「や、め、…んっ」
ボタンが開けられたパジャマ。
ブラのホックが外され、体を押し倒され、覆われていた部分が露になる。
優しく撫でられ、思わず息が詰まる。
触れられた部分が全て敏感になり、自分がおかしくなりそうで苦しい。
だけど抵抗はしない。
姉もこんな気持ちだったのだろうか。
いつもは私がする側だった。
あまりにも呼吸が激しくなり、私は姉の肩を押した。
「ごめん。辛い?」
姉は私の頬を撫で、問いかける。
私は首を横に振る。
"許して。陽。"
また姉の心の声が聞こえる。
私なんかより、姉の本心の方が苦しそうで、それを払拭したい。
「もっと…」
「…っ!」
私の声に、一瞬姉の動きが止まる。
「いいの…?」
「いいよ…」
「本当に?」
「……佳陽がいい。」
姉を初めて下の名前で呼んだ。
今までお姉ちゃんとしか呼んでこなかったから。
姉は何かのスイッチが入ったみたいに、顔つきが変わった。
私のパジャマのズボンの中に、そしてそのさらにもう一枚中に、小さく冷たい手を入れる。
私のこの場所に触れたことのある人なんていない。
相変わらず動きがぎこちなくて、だけどその手つきが優しくて、気持ち良い。
慣れているか慣れていないかなんて関係なくて、佳陽だから良い。佳陽だからこんなに気持ち良い。
"これで、最後だから…"
最後……?
どういうこと。
これで最後って、何?
訳が分からなくて、目から涙が流れ落ちた。
どこかに行っちゃうの?
私にはお姉ちゃんしかいないよ。
好きだよ。
離れていかないで。
最後なんて言わないで。
ずっとそばにいてよ。
「陽?…痛い?」
「……っ!!!」
姉は私のこの能力を知る由もない。
だから、私が涙を流したことを違う理由だと思っている。
私に触れていた姉の手を上からさらに力を入れて押した。
姉の手をより感じて、体が飛び上がりそうになる。
「陽っ!何して…」
「もっとしてよ。」
自分でも聞いたことがないくらい、自分から低い声が出た。
「佳陽、グチャグチャにしてよ」
「え………」
「佳陽でいっぱいにして。…忘れられないくらい、めちゃくちゃにして、…お願い。」
「陽。」
「お願い。」
姉は覚悟したように、目を瞑って私にキスを落とす。
何度も、何度も。
息が出来ないくらい、深く、深く
どちらからともなく舌と舌が絡み合う。
少し目を開けた。
姉の顔が近い。
必死に、必死に、私を求めてくる。
一瞬息が出来なくて、顔をずらして呼吸を整えようとしたけど、顔がまた近づき逃げることが出来ない。
"陽、陽といたい。…もっと陽が欲しい"
心の声に答えたくて、舌を追いかけるけど、触れられていた下半身が敏感に反応する。
姉が私の中に入ってくる。
そこは私自身も知らない場所で、少し痛い。
体の中から敏感なところを攻められる。
「陽、どう?気持ち良い?」
返事が出来ない。
返事の代わりに、自分でも今まで聞いたことがないくらいの自分の甘い声が耳に入ってくる。
体が限界を迎えて、力が抜ける。
それでも私も、姉も、求めあった。
「陽、もう…」
「佳陽っ、もっ、と…」
もうどこに触れられても体が反応する。
正直限界なのだと思う。
"これが最後なんて嫌だ。ずっと陽といたいよ。"
「私を、壊して、良いから…」
「陽が壊れちゃ」
「佳陽の為になら、いいよ。」
その後、何度繰り返しただろう。
もう起き上がれないくらい力が残っていなかったけど、これが最後になってしまうのなら。
いつの間にか意識が無くなっていた。
次に目を開けると、姉はいなかった。
姉は本当にいなくなってしまった。
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