第3話 夢見る少女は王子様の夢を見ない
時間とは有限である。
誰にとっても平等であり誰にとっても同じように時間は過ぎる。
当たり前過ぎていつも過ぎ去って、ふと思い出したときには手には届かずただ後悔を残すのみだ。
だからこそ人はその過ちから学び、今を変えていかなくてはいけないと思う。
まあ、その学びを忘れるのも人だと思うが。
「そろそろわっちに名前を付けてくれんか?
いつまでも神様だとかケモ耳様だとか呼ばれていては落ち着かん」
買い出しの帰り道。
上の空でさっきのことををどうしたものかと悩んでいるとひょこっと目の前に顔が覗き込んでくる。
「あ、ああ名前な!ずっと考えているんだけど今まで名前を付けたこともないし、相手が神様だと適当につける訳にもいかないだろ」
家に来た日に頼まれていたが中々決めきれずにいた。
神様としての名前はあるが、もう神ではないし心機一転新しく人としての名前が欲しいそうだ。
「むー、しかしいつまでも名がないのは不便じゃぞ。それにそなたがなずけてくれた名なら何でもよい」
「今日のご飯何でもいいみたいに軽く言われてもな」
名前とは重い物だと思う。
そこにはこう生きて欲しいとゆうう思いや、願いがそこには込められているはずだからだ。
…込められているはずだ、そう思いたい。
「例えば候補とかはないのか、その中からわっちが選ぶとか」
「それはいいな。」
「候補1つ目は白狐
「どれもおしゃれでいいがもう少し地味でもいいのう。」
「あと別に名に狐が入ってなくてもわっちはいいぞ?」
「結局どれも気に入ってねぇじゃん。お前あれだろ何でもいいって言っておいていざ作るとこれじゃなかったいうタイプだろ」
「そんなワガママなわっちも可愛いじゃろ?」
呆れるてため息を吐く俺にあざとい笑顔でを浮かべて笑う。
悔しいがその通りだ。
普段はきりっとクールな顔つきなのに、笑った顔と喋りは意外と子供っぽく正に狐だ。
昔話でもよく出てくる理由が分かる。
「多分な」
照れ隠しにぶっきら棒に答える。
「そこは噓でもお世辞を言え。だからお主は彼女の一人も二人もできんのじゃ」
「そもそも日本は一夫多妻を採用してない」
「彼女なら何人おっても平気じゃろ」
「平気なわけあるか、社会的に死ぬわ!」
そんなバカ話をしながら歩いているどどこからか女の子の声が聞こえる。
「近いな、わっちは様子を見てから帰る。お主は先に帰っていてくれ」
「この状況で帰れる訳ねえだろ。俺も行くよ」
「そうか、では急ごうか」
彼女の後を追い、急いで声のする方に向かう。
曲がり角を二か所か三か所曲がり、少し走ると女の子が見えた。
見た感じ年は小学校低学年程度だろうか。
ツインテールの髪でピンク色のスカートに、白いニットを着ていた。
急いで駆け寄る。
「おい、大丈夫か?迷子か?」
周りを見るが保護者のような人もいないし、周りにも彼女を気にかけている様子の人は見えない。
目の前に行き、怖がらせないように顔を覗き込む。
泣きながら訪ねる女の子に向かって笑顔で答える。
「俺はこの近くに住んでる大学生で鳥居
「こはる。」
「そうかこはるか、いい名前だ。何があったのかな?」
少し落ち着いたようで、まだ少し泣きながら答える。
「…分からない」
「分からない?」
予想外の答えに目を丸くしているとさらに予想外の質問が飛んでくる。
「お兄さんとお友達は私が見えるの?」
驚いていると彼女が優しく少女を抱きしめ、髪をなでる。
「ああ、見えているとも。怖かったであろうもう大丈夫じゃあんしんせい」
「うんっ」
ようやく安心して気が緩んだのか。抱きつきワンワンと泣いた。
「怖かった!」
「ああ怖かったな」
「寂しかった!」
「寂しかったな、でももう大丈夫じゃ。私たちが来たからにはもう安心じゃ」
しばらく泣くと徐々に落ち着いて来たようで鳴き声も小さくなる。
「疲れたじゃろ、一度家に来て休むとよい」
「お主もそれでいいじゃろうか?一度落ち着いて話をしたい」
こうゆうときはまず交番じゃないのか。
そう言おうとしたが、視線で何かを訴えてくるので何か考えのあってのことだろう。
「分かった俺の家に向かおうか。こはるはもう少し歩けそう?」
こはるはこくりとうなずく。
「じゃあ出発じゃな、着いたらお菓子が沢山あるから楽しみにしておれ」
彼女とこはるが2人手を繋いで歩き、こはるの隣に俺も並ぶ。
「お菓子!」
小春の顔が少し明るくなる。
「ああ、食べきれないくらいあるからな。腹すかせておけよ」
「いっぱい!」
花丸満天の笑顔を浮かべてるこはるを見ながら歩き始める。
いつかの俺にもこんな姿はあったのだろうか。
今となっては思い出すことは出来ない。
ーーーーーーーーーーーーー
「ごちそうさまでした!」
「うむ、おそまつ様じゃ」
「すげえ食ったな」
俺も彼女も少し食べたが、家にあったのと買ってきた分のお菓子を全部食べつくしてしまった。
いろいろと出費は厳しいが、女の子の笑顔はプライスレス!
諭吉の1枚や2枚安い物だ。
頑張れ来月の俺!
「どれ、眠くなっただろう。少し横になろう」
見るとこはるは少しウトウトしていた。
「わっちはベットで少し寝かしつけてくる。お主はそこで待っていてくれ」
「分かった、お休みこはる」
「おやすみお兄ちゃん」
バイバイと手を振ると寝室に歩いて行く。
静かになった居間で一人手持ち無沙汰になる。
「どうしたもんかな」
買ってきた物の片付けたいところだが、小春がこれから寝るのにうるさくも出来ないだろう。
取り敢えずスマホで時間でもつぶすか。
取り敢えずニュースのまとめサイトをズラッと観ていく。
お、犬のおねだりの動画だ。そうそうこうゆうのでいいんだよ。
悲しいニュースの中でこうゆうのがあると心が和む。
お、ついにコラボグッズ発売か。最近多いんだよあぁ。
普段使いできるデザインも増えて来たけど、外では付けられないようなデザインの最近少ないよな。
時代を考えると仕方ないのかもしれないけど、尖りまくった実用性も見た目も捨てたのも信者としては欲しいな。
そんなとりとめの内容を流し読みしていると一件の気になったニュースを見つけた。
ニュースとしては良くある事故のニュースだが、場所が家からそこそこ近い。
詳細がみたいと思いクリックしたタイミングで戻ってくる。
まあニュースは後で見ればいいか。
スマホの電源を切って体を起こす。
「早かったな、もう寝たのか」
「疲れがたまっていたみたいで、ぐっすりじゃ」
「それで話があるんだろ?」
今は先ほどからの行動の理由が早く知りたい。
「うむ。結論から言おう」
コホンと咳払いをし背筋を正し、しっかりとした声で話し出す。
初彼女がNTRされたけど狐の彼女が出来た @Contract
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