第25話秋田、悟る

オレは居酒屋で1人で飲んでいた。

オレは彼女が欲しかった。だが、1人でも十分楽しめる。

オレは性機能不全の治療を受けたが、子供が出来る可能性は低いらしい。

子供が欲しかった。

だが、厳しい道のり。

オレは悟った、女は必要ないと。

しかし、出会いは交通事故と同じ。いつどこで誰とくっつくか分からない。

成り行きに任せるしか無い。

今日は雨だった。

急な雨で、折りたたみ傘をいつも持っているので、濡れずに済んだが。


ビールを呑んでから、今夜は早めに退散しようとした。

すると、店の軒下で雨宿りしている女性が立っていた。

ここから、最寄り駅までは歩いて5分。

女性に声をかけた。

「電車通勤ですか?」

と。女は、

「はい」

と、答えた。

「良かったら、駅まで歩きませんか?傘がありますので」

「……宜しいんですか?」 

「良いですよ」


と、その女性と相合い傘しながら駅に向かった。

体の半分は濡れてしまったが。

駅に到着すると、オレは折りたたみ傘を女に渡した。

年の頃は30代半ばだろう。美しい女性だった。

オレは、最寄り駅に付いたら駅の売店で傘を買うつもり。

女性は傘を返したいので連絡先を教えてくれと言ったので、初対面の女性にプライバシーは知られたく無いので、名刺を渡した。

女はびっくりしていた。

「私は、こう言う者です」

と、オレに名刺をわたした。

そこには、

『林建設・秘書課・中川恵』

と、ある。同じ会社だったのだ。それで、連絡先を交換した。


それから、彼女と長い付き合いが始まる。多分、この子と結婚するだろう。

そう、思っていると夢は現実となる。

傘が作り出した、幸福。

今、オレは幸せの絶頂に立つ。

これは、オレが結婚までにいたる出来事の話しであった。

人工受精で、今、恵は妊娠している。

それを期に、余り外で飲まなくなった。たまに、いつものメンバーと飲む時があるが。

これで、この物語は終わりにしよう。


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アンブレラの下に、君はいる 羽弦トリス @September-0919

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