第一章 前代未聞、開校以来初の落第生⑨
***
「王子」
コレットが部屋を出て行った後、ジルが自分のデスクに
「何だ?」
「王子にしては初対面の女性に対して、ずいぶん地を出していませんでしたか? いくら平民とはいえ、女の子相手に
ジルのもっともな
王族に生まれて、女性に対する
どうやら初っ
しかし、ジルの言う通り、
「俺にもよくわからねえ。あいつと話していると、調子がくるうんだ」
「それはまあ……わからないでもありませんね」
ジルは思い出すように遠い目をした後、プッと笑った。
「しかし、意外でした」と、ジルが続ける。
「彼女も王子のお
「あいつは回復魔法士として、俺の嫌いな部分を持っていないからな」
「消失魔法ですか? でも、使えないわけではありませんよ。現に自分の体内の毒を消せるのですから」
「わかっている。この先、消失魔法
「かわいそうですねぇ。その時は追い出すのですか」
「アホ。あいつが消失魔法を使いこなせるようになったら、魔力量から見ても充分
「さすが王子。ちゃんと先のことまで
ジルは本気で感心しているのか、
「ちなみに王子、通いでもいいのにわざわざ住み込みを提案したのは、それほど彼女をお気に
「バカ言え。あいつを雇う以上、俺の身近にいることになる。目の届くところに置いておいた方がいいと思っただけだ」
「やはりそちらでしたか」
ジルも四年前の事件を忘れていない。雇ったばかりの若いメイドが、買い物に出かけた先で
「二度と同じ
落ちこぼれ回復魔法士ですが、訳アリ王子の毒見役になりました。 糀野アオ/角川ビーンズ文庫 @beans
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