永遠の問い。だからこその、正解。奥深く、答えのない未来を淡々と描く。

 8,261文字という長さを感じさせないほど面白い。

 話の本筋としては、後追いの物語です。しかし、話のテーマというか、一番の盛り上がりを魅せたシーンはやはり私と彼という二人の関係です。家族という関係と、恋人という関係。どちらも同じ直線上にあるにも関わらず、まったく違う局面性を持っている。その二つを綺麗に落とし込んでいます。
 痛みを語る痛々しい描写と、ふと我に返らされる切り込んだ台詞。たたみかけてくる展開は読者を一挙に押し寄せて、最後に虚無に落とされる。そわそわとした感覚。何が正しいのか、答えなのか。
 何一つわからない”永遠の問い”。だからこその、その一つの正解に巡り会えます。