第20話 ルーシーの謎 パーティー結成
「ミンサヒール…。聞いたことない名前だな。ちなみに、ここは日本の大阪府だ。」
『二ホン…。オオサカフ…。どちらも聞いたことのないわね。』
「大和さん。今スマホで調べてみたんですけど、ミンサヒールっていう地名は出てきませんでした。やっぱりルーシーちゃんは、異世界出身なんじゃないですか?」
『イセカイ…?』
「つまり、ルーシーちゃんは、こことは別の世界からやってきたんじゃないかと思うんです。ルーシーちゃんの国には、私みたいな見た目の人類以外にもエルフとかドワーフ、獣人なんかの種族もいたんですか?」
『もちろんよ。私の村にはエルフだけだったけど、王国には色んな種族の人達がいたわ。』
「なるほど…。やっぱり異世界からやって来たみたいですね。」
『どういうこと?』
「つまり、この世界はルーシーちゃんの世界とは違って、エルフもドワーフも獣人も存在しないんですよ。」
『やっぱりそうなのね…。ダンジョンから出た瞬間にヒューマンしか見かけなかったし、建物や服装が見たことのないものばかりだったから、違和感を感じていたけど…。でも、どうして別の世界に来てしまったのかしら?』
と、ルーシーが考え込んでいると、大和が話しかけた。
「ルーシー。俺が君を発見したときは、ダンジョンの中で結晶のようなものに包まれていたんだ。そして、この剣が君の体を貫いている状態だった。君の身にいったい何があったんだ?それが手掛かりになるかもしれない。」
『そうね。私のことを話させてもらうわ。』
そう言って、ルーシーは自分の過去について話し始めた。
『私は、理由は伏せさせてもらうけど、王国付近のダンジョンに1人で潜っていたの。特殊スキルの使い方は分からなかったけど、【称号】のお陰なのか、結構強かったと思うわ。そうやって、地上に戻らず何十年もダンジョンを
それを聞いたカエデが、ボソッと言った。
「ルーシーちゃんも地底人だったんですね。」
『そして、地上を目指していたある日、ダンジョンが長い間揺れた後、その剣を持ったモンスターと戦って負けたわ。最後は体を貫かれた。そこからは、死んだと思っていたのに目が覚めると体が小さくなって魔力も減っていたわ。そして、隣にはヤマトがいたの。』
「なるほど。確か、ルーシーを鑑定したときに、どんな内容かは読めなかったが、称号という欄があったな。しかし俺は何で女に、それもダークエルフになったのかが分からないな。」
『それなら、次はヤマトのことを聞かせてよ。私と出会うまでのことを。』
「そうだな。じゃあ、俺は…。」
大和は、ルーシーと出会うまでのことを全て話した。
『うーん。ヤマトって男だったのね。もしかしたら、その天秤みたいなアイテムの効果で、私と大和の魔力か何かが均等に分けられたのかもしれないわ。』
「均等?」
『ええ、今の私とヤマトの魔力の総量がちょうど同じくらいになってるの。だから、私の魔力総量が元の状態よりも減ってるの。それだけじゃなくて、エルフの体は体内の魔力の影響を受けやすいと言われていたわ。だから、私の体が小さくなったんだと思う。』
「それじゃあ、俺の体がこんなになったのは
も…。」
『たぶん、私の魔力だけじゃなくて、肉体的にも大和に融合している部分があるから、その影響だと思うわ。』
「でも、俺はルーシーと違ってダークエルフになっているぞ。」
『その原因は、ヤマトが放出系の魔法よりも身体強化の方が得意だからじゃないかしら。エルフは、魔力の質の影響を受けやすいから、先天的に得意な魔法によって普通のエルフかダークエルフになるかが決まると言われていたわ。』
「なるほど。あと、ルーシーは水晶の中で意識が無かったと言っていたよな。あの声は誰のものだったんだ?」
『うーん。分からないわ。私の寝言じゃないかしら?』
そうやって、俺とルーシーが話し合っていると、先ほどからスマホで何やら操作をしていたカエデが声をかけてきた。
「大和さん。ルーシーちゃん。とりあえず、今までの話をメモにまとめました。」
「ありがとう。カエデちゃん。見せてもらえるか?」
「はい! まず、こちらが今わかっている内容です。それと、まだ分からないことは、大きく分けて3つあります。まず、どうやってルーシーちゃんが地球のダンジョンにやって来たのか。なぜ水晶に包まれている状態だったのか。そして、大和さんが聞いた声の正体ですね。」
「なるほど。あとは、どうやって男に戻るか…。」
『あの…。言いにくいんだけど、ヤマトはもう戻れないと思うわ。』
「どうしてなんだ?」
『私の場合は、そう魔力量を増やしていけば、元の姿に戻れるわ。でも、ヤマトの場合は私の一部と融合してしまっているから、私の部分だけを切り離すのは難しいと思うの。』
「そうか。まあ、このままでもいいか。以前の姿よりもポテンシャルを感じる。ダンジョンの完全攻略のためにもこの魔力と肉体は役立つと思う。」
「え!?戻れなくてもいいんですか?まあ、私にとっては好都合ですけど…。」
「好都合ってなんだ…。 まあ、とにかく俺の夢はダンジョンの完全攻略なんだ。そのためなら元に戻れなくても、何不自由ないどころか、より潜在能力を秘めたこの体で生きていこうと思う。」
『ちょっといいかしら。』
「どうしたんだ。ルーシー・」
『その、ダンジョン攻略に私も協力させてもらいたいんだけど。もしかしたら元の世界に戻るヒントが見つかるかもしれないし。』
「もちろん。俺はルーシーなら大歓迎だ。それに、今の俺はルーシーの力を奪ってしまっている形になる訳だしな。君のためにも力を貸そう。」
『ありがとう…。あれだけ強いあなたなが協力してくれるなら、安心ね。」
「どういたしまして。それに、ソロにも限界を感じていたところだったし、何より俺たち2人は相性抜群だと思う。それと、カエデもパーティーを組まないか?ソロで続けたいという事なら断ってくれても構わないが、俺達は3人の方がいいパーティーになると思うんだ。」
「はい!私も赤鬼と戦った時にソロよりも仲間がいた方が安全だなって思いました。それに、命を助けていただいた恩もありますから!」
「よし。そうと決まれば、ちょうどギルマスにも呼ばれていたし、ギルドでパーティー登録もしよう!」
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