刑務所《がっこう》

うしさん

刑務所(学校)

 僕は今自首とうこうしています。


~~~~~~十分前~~~~~~


 「お願いします」

看守うんてんしゅに挨拶するところから僕の一日が始まる

バスには囚人せいとが大勢乗っている、三十人ってとこだろうか


 『ヨウセイおはよ!』

前を向くとアダチが待っていた

寝癖はひどく、髭もボーボー、おまけに態度も悪い、だけどどこか愛おしい

それがアダチ、僕の唯一の友達だ


 『今日の作業じゅぎょうで使うコンパス持ってきてるか?』

「うわ!忘れてきたわ」

そんな他愛もない会話を十分ほどしていると刑務所がっこうについていた


 『今日も地獄が始まるぅ』

アダチは囚人服せいふくが嫌いなのだ


 『せめて服は自由にしてほしいよな~、俺被り嫌いだし笑』

「毎日言ってんじゃん笑 あっ僕の共同室きょうしつこっちだから」

そう言いアダチと別れた


 僕は作業じゅぎょうが嫌いだ

苦手なことが多いし、楽しくもない、なにより出所後しょうらいこれ使うのか?ってことが多いからだ。しかしサボると刑務官せんせいに叱られるので真面目にやっている


 午前の作業じゅぎょうが終わると、僕の一番好きな時間がやってきた

それはだご飯は美味しい、しかし囚人せいと同士で喋ってはいけないという謎のルールだけは気に入らない。楽しく話しながら食べた方が美味しいに決まってるじゃないか!

そう思いながらも食べ進め完食すると、昼休憩ひるやすみが待っている


 『ヨウセイいこうぜ!』

昼休憩ひるやすみは自由なのだ、だからいつもアダチと遊んでいる

最近の僕たちのブームは図書室だ。ここはエアコンが効いていてとても快適なのだ

なので空いている時間は基本図書室にいる


~~~~~~しばらくして~~~~~~


 「あと五分で昼休憩ひるやすみ終わりかぁ」

昼休憩ひるやすみが終わるのは早いものだ

時間でいうとニ十分ほどあるのに体感では十分ほどのものだ

昼休憩ひるやすみが終われば作業じゅぎょうが待っていると考えるだけで気が重くなる

しかし時間が止まるわけもなく作業じゅぎょうが始まる時間になってしまった


 午後の作業じゅぎょうも乗りきりやっと出所きたくできると思っていたが掃除があるのを忘れいていた

なにげにこの時間が一番面倒くさい。出所きたくだとテンションを上げていたのに実はまだが残っていたのだから仕方ないことである


 ようやくすべての作業じゅぎょうが終わりあとは集会ホームルームをすれば

出所きたくできるのだ

時間にしておよそ十時間の服役期間がくしゅうじかんだった


 僕は今出所きたくしている

「お願いします!」

看守うんてんしゅに挨拶し僕の一日が終わる

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刑務所《がっこう》 うしさん @yoneusi

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