第2話 狙われてた街
『で、早速話を聞いてほしいんだ。』
『この街は影に堕ちたモノ……ドロップシャドウに狙われている。』
「ドロップシャドウ?ああ、画像加工の技法の一つか。ああそう。」
『違うよ、ちゃんと話を聞いてくれ。』
ルーシャンは窓に放り投げられそうになりながらつらつらと話し続ける。
『だから早い話』
『君に魔法少女になってほしいんだ!』
「……」
「…………」
ヨナカは何も言わずにルーシャンを窓から放り投げた。
その後、自身の頬をつねる。
「痛くはある……けど多分これ明晰夢かなんかだ。」
「前に夢の中で頬つねって痛かったけど夢だったことあったし。」
「今日の授業で疲れてんだな。早く寝よ。」
『いきなり酷いことをするね君は!』
ルーシャンは何も無かったかのように窓辺に居座る。
「いやだから」
「僕そういう非科学的なもの信じてないから。」
『そうこう言っている内に、街は崩壊が進んでいるんだよ!』
「んー、じゃあ本当にそういうのが実在しますー。っての見せてくれたら信じてあげてもいいけど。」
『解った。早速教えてあげるよ。』
そう言われ、ヨナカは渋々と家を出て街中を見る。
_____
旧・
百均も手芸屋もない、ヨナカからしたらただの田舎だ。
『ほら、街全体に黒いのが飛び交っているだろう?』
「あー、本当だね。じゃ。」
『だから放置をしないでってば!』
「じゃあどうすればいいのさ。」
『このルービックキューブを渡すから、早速割ってくれ。』
『そうしたら、君の力は解放されるから。』
「あー、はいはい。」
ヨナカは嫌だなぁ、という表情を浮かべながらルービックキューブを割る。
その時、ヨナカを青い光が纏い、ヨナカは憲兵のような衣装になっていた。
「え、なにこれ。」
『君の戦闘スタイルさ。ちなみに武器はこれ、アサルトライフル。』
「ふーん。」
『気に食わなかったかい?』
「いや」
「こういうのだったらめっちゃ気に入った。サンクス。」
ヨナカは幼少期からメンズソウルな部分を持ち合わせ、真っ先に魔法少女と聞いてあのフリルやらレースやら沢山のぶりっ子くさい服を着るのが嫌なだけであった。
まあ、単に非科学的なものを信じていなかった。というのもあるが。
_____
「ガアガアガア!」
ドロップシャドウ達は、カラスよりも醜い鳴き声をあげながらヨナカを狙う。
「ハイハイ、今楽にしてあげますからねー。」
ドドドッ、とヨナカのライフルがドロップシャドウを撃ち抜く音が街を鳴らす。
『初めてにしては上出来じゃないか!さすが僕が見込んだ少女だ。』
「へっ、そりゃどーも。」
『でも君一人では心配だ。僕はもう1人の魔法少女を見つけてくるよ。』
「あ、待て!この姿からどう普段着に戻れと!?」
『指パッチンで直るよー』
「へいへい。」
_____数奇な運命に巻き込まれたヨナカ。しかし案外悪くはなさそうだ。
デイドリーム・レアルタ ノア @noa_zarusoba
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