第13話 デートの終わりに、もう少し深く
デートを締めくくりに、アレンとマリアは静かな公園を歩いていた。
夕方の柔らかな光が二人の足元を照らし、穏やかな風が木々の葉を揺らしている。
しばらく無言で歩き続け、アレンはふと立ち止まり、マリアを振り返った。
「今日はデートなんかしてもらって……ありがとう、マリア。すごく楽しかったよ」
アレンが照れたように言うと、マリアも小さく笑みを浮かべた。
「とんでもないわ、アレン。こちらこそ、ありがとう。私もすごく楽しかった」
その言葉に、お互いの心が通じ合ったような温かさが広がり、二人は自然と微笑み合った。
しばらくの沈黙の後、マリアは小さく息を吸い、そっとアレンの手を握った。
「ねえ、アレン……最後に、キスしようか?」
マリアの言葉にアレンは少し驚き、目を見開いたが、すぐに穏やかに微笑んでマリアの提案を受け入れた。
マリアの唇が近づいてくると、胸の高鳴りが抑えられない。
二人はそっと顔を寄せ合い、静かに唇を重ねた。
優しく触れるだけのキスだったが、彼らの間に深い幸福感が流れ込み、二人はその瞬間に満たされているのを感じた。
唇を離すと、マリアが少し照れくさそうに微笑んだ。
「これ以上は、キスだけじゃレベルアップしないのかな?」
マリアは冗談めかして言ったが、どこか期待を込めた瞳でアレンを見つめていた。
アレンも少し恥ずかしそうにしながら、軽く肩をすくめた。
「どうだろうね。でも、これだけで十分幸せだよ、マリア」
その言葉にマリアは嬉しそうに微笑んだが、ふと何かを思いついたように顔を赤らめ、もう一歩アレンに近づいた。
「ねえ、アレン……もう少し、濃厚にしてみようか?もしかしたら、それで……もっと力が得られるかもしれないわ」
マリアの大胆な提案に、アレンは一瞬戸惑ったが、マリアの真剣な眼差しと、自分を信じてくれるその表情に心を動かされ、静かに頷いた。
二人は再び顔を近づけ、今度はお互いに求め合うように唇を重ねた。
先ほどのキスとは違い、より深く、濃密な愛情が込められたキスだった。
アレンはつい興奮し、そっと舌をマリアの口内に滑り込ませた。
「あ……」
マリアは思わず甘い声を漏らし、気持ちよさに浸る。
アレンとマリアの唇からは、甘くとろける唾液が伝い落ちていった。
二人の呼吸が混ざり合い、心臓の鼓動が互いの胸に伝わる。
周囲の静寂が二人を包み込み、時間が止まったように感じられる瞬間が訪れた。
やがて、キスが終わり、二人は互いの目を見つめたまま、少し息を整えた。
アレンは、心の奥底に深い幸福感が広がり、マリアと一緒にいることがどれほどの喜びかを再確認していた。
「……ありがとう、マリア。君といると、本当に俺は強くなれる気がする」
アレンが穏やかにそう言うと、マリアは頬を赤く染めながら、微笑んで彼に応えた。
「私も……アレンと一緒にいると、どこまでも頑張れる気がするわ」
その時、アレンの体に小さな変化が起こったのを二人は感じ取った。
彼のステータス画面に目をやると、なんとレベルが10から11に上がっていたのだ。
「アレン、見て!レベルが……11になってるわ!」
マリアは大喜びで声を上げ、アレンも驚きの表情を浮かべながらステータスを確認した。
確かに、レベルが一つ上がっており、経験値も大幅に増えているのがわかった。
「すごい……まさか、こんな形でレベルが上がるなんてな……」
二人は互いに顔を見合わせ、自然と笑みがこぼれた。
喜びが溢れる中で、マリアはアレンの手を握りしめ、興奮気味に言った。
「アレン、これでまた私たち強くなれたね。レベル11だなんて、人間界では本当に最強なんじゃない?」
アレンもその言葉に頷き、マリアの手をしっかりと握り返した。
「そうかもしれないな。でも、最強かどうかは別にしても、君と一緒にいることが何よりも心強いよ」
マリアはその言葉にさらに顔を赤らめ、微笑みながらアレンの肩にそっと寄り添った。
夕暮れの光が二人を優しく包み込み、その温もりの中で、彼らはこれまでにない安らぎと幸福感を感じていた。
二人は手をつないだまま、公園を後にし、再び冒険に向けて歩き出した。
今や二人の絆は、かつてないほど深く強く結ばれ、これからの旅路に対する自信が満ち溢れていたのだった。
俺のスキルがセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした 宮富タマジ @tergo
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