第3話 念願の日


数年後、オズ(アリス)はロバートの厳しい指導の下みるみるうちに実力をつけて、瞬く間にスターダムへと駆け上がっていく。


舞踏会当日、短期間のレッスンにも関わらずアリスは現役の役者の何倍もの実力を兼ね備え挑んだ結果、何と観客席はスタンディングオベーションになり見事に大成功を収めたのだ。それがきっかけで瞬く間にイギリス全土にアリスの知名度が広がり、言わずとも知れた女優になってしまった。それにはオズも驚き、アリスに会いにきた。


「お前、早すぎだろ。僕はまだ会社員になって仕事もよく覚えきれてないって状態なのに。ズルすぎるぞ、アリス。」


「あの時約束したじゃない。絶対に成功させてみせるって。私はそれを毎日忘れずに生きてた。まだまだ私はこんなもんじゃない。見ててよ、オズ。世界が覆る瞬間を。」


そのまた数年後、アリスは王室に呼ばれてかの有名な『ロイヤル・オペラハウス』で『オペラ座の怪人』を見事に演じて、イギリスだけでなく世界に名を轟かせた。世界中からファンが劇場に押し入るようになりアリスの出演する劇は毎回完売になるほどの大盛況ぶりだった。


それから程なくしてアリスはハリウッドにも出演するようになり世界中で知らない人はいないほどの女優になってしまった。


一方、アリスを見下した『ルミエール座』はどうなったかというと、団長の賄賂やピンキリが発覚して劇団はすぐさま解散して、劇場ごと倒産したという話だ。何とアリスの大逆転劇は止まることを知らないのだった。


オズが会社員になりある程度生活にも慣れ家族もできた頃、アリスはツアーを開催して世界各地を練り歩くようになった。


そして一年前からアリスが日本に来日して初公演となる帝国劇場にやってくるという話を聞いた。


この本、実はノンフィクションで今もアリスはこの世界に生きていてようやく明日待ちに待った演劇が観れるということで私の胸はときめいている。「グランドフィナーレ」を読んだ後、私の人生は劇的に変わった。


何せ私は明日、あのアリス様との共演が叶うのだから!まだまだ新人だけどアリス様のように輝かしい生き方がしたい。


この作品の個人的に好きなフレーズは「世界を覆す瞬間」である。この言葉を聞いて震え上がるような感動をしたのを覚えている。私もいつかアリスのように“世界を覆す日”がやってくるといいな。



そういえばオズはあの後、


魔法を解いたのかな?

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