第7話 歴史ファンタジー的な解釈について。

※本編のネタバレを含みます。ご注意ください。


 本編『鬼姫は月夜に恋ふ』の最大の見せ場は、二十一、二十二話のシーンです。

 菅原 道仁に化けていた鬼(雷焔)が光彰を襲おうとしたところ、紫焔に阻まれて正体を現し、最後は光彰の持つ鬼斬丸によって倒される、という結末になっています。


 この菅原 道仁という男のモデルにしたのが、菅原 道真です。


 菅原 道真という人物は、平安時代の貴族であり、優れた学者でも政治家でもありました。

 5歳で和歌を詠み、33歳で学者として最高の文章博士に就任したそうです。

 宇多天皇に重用され、蔵人頭に着任。

 出世街道まっしぐら……と思えた道真でしたが、左大臣・藤原時平の政略によって無実の罪にきせられ、九州・大宰府に左遷。死後、怨霊となり清涼殿落雷事件などを起こしたとされ、日本三大怨霊の一人として知られています。

 後に天満天神として信仰の対象となり、現在は学問の神様として親しまれています。


 本編を読まれた方ならお分かりかと思いますが、これらの話まるっと本編に起用しております(笑)。清涼殿ではなく、フィクションの藤香殿に落雷があったことにしていますが、あの事件も道仁に化けていた雷焔の仕業でした。


 ただ、あのエピソードは、うまく伏線回収できておりません💦

 本来は、落雷騒ぎを起こして、その間に神鏡を盗むことにしようと考えていました。


 それが、貞晃の式神エピソードを思いついちゃったもんだから、こっちの方がいいやとなり、落雷事件が宙ぶらりんに(;'∀')


 紫焔の正体に気付いた道仁(雷焔)が動揺して雷を落とした……ように受け取ってくれないかなぁ~と読者に丸投げしていますww


 あれ結局何だったんだろう、って気付いた方いらっしゃいます?|д゚)チラッ


 道真が怨霊となって都を襲う、というネタは、結構あるあるでして。

 夢枕獏先生の陰陽師でも確かあった気がします💦


 なので、菅原 道仁の名前を出した時点で、気付く人は気付くんじゃないかと思ったのですが……特にどなたからも怪しむコメントを頂いていないので、セーフか?

 もしくは、あからさますぎて気を遣ってくださったのかも(;゚∀゚)


 本編をお読みになっていない方のために説明させて頂くと……


 本作品の主軸ミステリー要素として、鳳凰院(前王)の女御である花智子が不審な死を遂げた原因を紫焔が宮中で探る、というストーリーがあります。

 で、その犯人が菅原 道仁に成り代わっていた雷焔という鬼である、という筋書きです。


 犯人は、誰にでも変化できる鬼なので(ここは第二話で紫焔の母が変化のことについて語るシーンが伏線となっています)、ぶっちゃけ誰でも良かったんですけどw


 敢えて、推察しやすい道仁を犯人に据えたのは、花智子の父親だから正体が鬼であるとバレて殺した、という動機を作りやすかったのと、歴史ファンタジー的な解釈が作れると思ったからです。


 先に述べたように、菅原 道真が怨霊となって都を襲うという話はあるあるです。

 実際、当時の人たちは都を襲う凶事が本当に怨霊となった道真の仕業だと思っていたのです。


 そこに、実はそれらの凶事は、彼に化けていた鬼の仕業だった、というファンタジー的な解釈を作りこむことで、歴史マニアにとってもニヤリとしてもらえないかな、という思惑がありました。


 あくまで本編は、恋愛ファンタジー小説であり(笑)、ミステリー小説でも歴史小説でもないのですが(;^_^A


 私が読者だったら、そういうネタを仕込んである方が楽しめると思ったからです。


 実は他にも、ちらほらと小ネタを仕込んでいるので、良かったら探してみてください~♪(´∀`*)


 いかがでしょうか?


 皆様のご見解&ご意見を参考にコメント頂けましたら、大変嬉しいです(*ᴗˬᴗ)


 次回は、登場人物&タイトルの意味についてです!


 最後に本編へのリンクを以下に貼り付けておきます。


📖『鬼姫は月夜に恋ふ』(本編)

https://kakuyomu.jp/works/16818093084547729539


 ご興味があれば、お読み頂けると幸いです。

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