日曜日はパンケーキパーティー
古間木紺
日曜日はパンケーキパーティー
日曜日は朝からパンケーキを焼く。私の分とパートナーの分。ただし2人分ではない。おかわりを計算しなければならないからだ。
たぶんそのうちにパートナーが起きてくる。手伝うことある?と聞かれるので、つけ合わせを作ってほしいと頼む。もしかしたらキッチンは狭いかもしれないから、そのときはゆっくり待ってて、と言うかもしれない。何しろ企画主は私なのだから。
パンケーキもつけ合わせも作ったら、テーブルに並べる。私が、パーティーですぜ、はっはっはっとかふざけたこと抜かすと、パートナーものってくれるかもしれない。私と住まいをともにするほどだから、たぶんパートナーもそこら辺のツボが似ていそう。
パーティーと銘打っておきながら、スタートはきっちりしていない。いつもの食事と同じように食べ進める。私はその日の気分で何から食べるか変えると思う。今ならチョコレートソースをかけて食べたい。その次は生クリームで、ジャムで、果物は苦手だけどいちごならいける、などなど……。
忘れちゃいけない、アイスも載せよう。タイミングによってはパンケーキが冷めているから、アイスクリームは溶けにくい。私はそれでほっとするけど、もしかしたらパートナーは、それじゃあパンケーキにアイスを載せた意味がないよって言ってくるかもしれない。あったかい×つめたいは最強なんだよって熱弁してくるかもしれない。でも私はアイスが溶ける方が嫌だ。
不毛な議論かもしれないけど、たぶん私もパートナーも楽しんでいるだろう。そのうち、あつあつでも冷めているのでもどっちでも選べるように、今度は途中からホットプレートで焼いていく、という結論になるかもしれない。ホットプレートの特別感はふたりとも感じている。じゃあ今度はそうしよう、と約束して、ふたりはまだまだ食べ続けた。
ここまで読んできて、おや?と思った方もいるだろう。お察しの通り、今まで書いてきたことは私の理想である。気の置けない親友のようで家族のような誰かと、互いの生活を支え合って生きていきたいし、そういう人と休日はパンケーキパーティーをしたいのだ。
パンケーキパーティーは毎週でなくていいし、そもそも毎回パンケーキでなくていい。きっとホットプレートを持っているならたこ焼きパーティーだってやるだろうし、夏は焼きそばパーティーをしているかもしれない。餃子パーティーもいいけど、それは金曜日の夜な気がする。
私は月に1、2回のパンケーキパーティーを通して、パートナーと一緒にいる幸せを分かち合いたい。パーティー楽しいね、きみと過ごせてよかったよ、今日の楽しさで明日からの仕事も頑張ろうぜ。それを全部パンケーキに込めたい。恋愛感情がないなりの、病めるときも健やかなるときも、の表れだと思う。
誰にも恋愛感情が向かない人の中には、パートナーが欲しい人がいる。私もその中のひとりで、恋人ではない特別な存在がいてほしいと思う。それが、上記の「気の置けない親友のようで家族のような誰か」である。
ただ、今はまだ本格的にパートナーを探していない。プライベートなことなので詳細は省くが、ざっくりと書くなら、まだその段階に至ってないという感じである。
だけど。それでも理想の休日を妄想してしまう。いつかの私はパートナーとパンケーキパーティーをしていると。
日曜日はパンケーキパーティー 古間木紺 @komakikon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます