第14話 エピローグ……そして次なる戦いへ?

『……あんたねぇ』

 女神が何故か怒っているわ。

「条件は達成したわよ。何が不満なの?」

『自分の祖国をほったらかしにして、しかも、最後日本の敵を増やして勝利条件を達成するってどういう了見なのよ!?』

「勝利条件が提示されている以上、その達成を優先させるのが一番でしょ? 言っていることの意味が分からないわ」

 将棋の目的は相手の王を詰むことよ。全部の駒を奪うことではないわ。

 女神なのに理性を失うのは、困ったものよね。

『ムカつくわ。資料にあった通り上から目線すぎてムカつくわ』


 女神というのに随分と短気だわ。

 元々幽霊なのだから、上から目線を批判されるのは本当に心外よ。


『それなら、次は1910年に転生してみなさい! 6歳や7歳で第一次世界大戦に口出しできるものなら、してみなさい!』


 女神がキレてハードルをあげてしまったわ。

 何て心の狭い女神なのかしら。


「さすがに6歳や7歳のお子様が渡航したり政治に口出しするのは無理ね」

『そうでしょ。今度こそ真面目に変えてみなさい!』

「今回のを不真面目にやったつもりはないのだけど……。まあいいでしょう。1910年への転生も承知するとしましょう。ただ、今回もある程度の自由の利く立場にはしてほしいわ」

 生まれた時の条件が厳しすぎて一つしか道がないようでは転生する意味がないわ。

『もちろん分かっているわよ。戦前は嬰児殺しも多いけど、さすがに生まれてすぐ死にましたでは話にならないものね』

「嬰児殺しは嫌なものよね……」

 この時代は本当にシャレにならない事件が多いのよ。

 現代と違って物凄く多産な時代だし、現代より遥かに貧乏だからね。


 交渉の末、ほぼ同じ条件で1910年の日本に転生することになってしまったわ。

 この時代だと、ある程度動けるようになるのは1925年。昭和が始まっていることになるわね。

 第一次世界大戦は終わってしまっているし、第二次世界大戦に向けての諸要素が軌道に乗り始めているわ。

 これを途中から参加して戻すのは至難の業よ。


『今回も世界秩序の早期変更をやるつもりなの?』

「覆水盆に返らずと言うわ。終わったことを取り戻そうとするのは無意味なことよ。条件が変わったのなら、変わったなりにやるだけね」

『また外国で常駐するなんてしないわよね?』

「……全く行かないと条件達成は難しいけれど、海外常駐は難しそうね」

 というか、女神のくせに根掘り葉掘り聞いてどうするのよ?

 こっそり自分も転生するつもりなのかしら?


 かくして、戻った早々なのに1910年の日本へと転生することになったわ。

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