第3話 旅へ

「エイル…………君は一体…………何者なの…………?」

 ま、当然だよな。

「………聞かないでくれると助かる」

「なら、これからどうするの?さっきの竜巻で近くの衛兵部隊が駆け付けると思うけど……」

俺は、もう沈みかけている太陽を見つめた。

「…………旅に出る。…………この世界を、もっと見てみたい」

アルトは唾を飲んで…………。

「なら…………僕も、僕も強くなる!物語に出てくるような……英雄になって、君と並ぶ!」

「…………そうか…………待ってるよ。アルト」

―――いつまでもな。

「サモン・シルバーウルフ」

狼の長を召喚する。

「お前に、《アーク》の名前を与える」

魔物の固有名というのは、格が上がる。つまり…………強くなる。

「ワオオオオオオオオオン!」

光に包まれたシルバーウルフは、より強い輝きを持った白銀の狼へと進化した。


プラチナムウルフ・固有名アーク。スキル《地撃》(アースブレイカー)。


「嘘……プラチナムウルフ…………魔王の次…………災害レベルの魔物じゃないか…………」

こいつはフェンリルの亜種と考えていい。強さはそれ以上だが。二段階進化とはやるじゃないか。

『マスター』

(ん?)

『このプラチナムウルフは既に第七位の勇者程度の実力はあるようです』

(ほー、俺が名付けたにしても強くなったな…………)

「それじゃあ、行くぞ。アーク!」

「ワフッ!」

アークにまたがり、疾風の如く森を駆け抜ける。

「じゃあな、未来の勇者」

そう、アルトの本当の才能は、剣士ではない。

本当の才能は、《勇者》。今は覚醒していないだけだ。もし覚醒すれば、序列二位の力を得る。

…………一位が気になるが、それは少しだけ先の話だ。


    第二章・早すぎんだろ、勇者様。

 村から離れて数日が経った。

 現在地は村から直線距離七十㎞の地点。

今の俺は管理者(アドミニストレータ)のスキルで能力を英雄クラスにまで落としている。

これなら索敵能力を持った勇者にも見つかることはない。

我ながら完璧な作戦だ(提案したのはエクシアだけど)。

配下は何気にエネルギーコントロールを習得し始めているようだ。

もう序列一位の《エルズグラウス》以外の十一体は召喚できる。

使徒と以前配下になったシルバーウルフの群れは同じ空間に暮らしている。

収納者(アイテムボックス)の中に空間を作ってある。中の空間は自由に改造でき、かなり快適なのだそう。(俺は中々入ることが無いから知らないけど)


「なあ、エクシア」

『なにか御用でしょうか、マスター』

「今なら〝竜牙餐喰〟を全力で撃ってもいいんだよな?」

―――…………村でのあれはかなり制御に疲れたからなぁ…………。

エクシアの補助があるとはいえ、あの状態を主力にするのは無理がある。

というか、《俺》自身のせいで《創造神エイル》の実力を百パーセントで引き出せないのだ。

元の精神が足を引っ張っているのか、若しくは…………―――、

「俺自身の恐れ、か……」

『マスター、ご自虐はお控えください』

「…………ごめんな、エクシア…………」

『いえ、先程のことですが。制限解除を行わなければ前回の威力が最大になるはずです』

「…………それはよかった」

無駄な被害を抑えられる。…………少し肩の荷が下りたかな…………。

『マスター、お疲れならここから直線距離二㎞の地点に都市があります』

「ありがとう…………心配かけてごめんな」

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神様転生物語~世界を創ったのは俺なので、責任を取って魔王を倒し世界を救います~ ronboruto @ronboruto

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