念慮、希死

ふと、殺してもらいたくなる。貴方に。


鼓膜を破るほどの音で身を守らねば到底耐えられたものではない。


殺してくれ。乞う。

あの背景の一部と化している山々の端つこから鉈でも鉞でも拾つてきて、この醜い、醜い首を落としてくれ。


まだ午前の一時。丑三刻にもまだ満たぬ。

筆が止まらない。殺されることへの躊躇は捨ててしまったのか。


貴方にはそれが、どうたら考える前に、出来る。精神がどうの、生き方、己の正義、価値観ではない。


ただその腕力として、人間ひとりの首を落とすには事足りると申しているだけ。

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詩集・短編集 尾谷金治 @haya-punk

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