第4話

今日は全国模試に行ってきた。親に行けって言われたやつ。


結果?そんなもん、ダメダメだよ。

危機感あるか?受けたばっかの時はあったけど、5分で消えた。私はそういう人間だから。


「ただいま〜!」


弟と家に帰り、読書。17時頃、祖母が家に来た。


「あ、おばあちゃん。」

「紫花子、今日はサンマごはんだ。」


言い忘れてた。我が家は両親共にすっごい忙しいから、隣の家に住んでいる祖母がごはんを作って持ってきてくれる。


渡された深皿の中には、サンマののった色付きごはん。


「食べる前にあっためて、サンマの身をほぐして混ぜてから食べないよるんだよ

「……うん、ありがと、おばあちゃん。」


食べたことないな。


「そういやぁいえば、今日、テスト受けてきたんだらでしょ?」

「うん、全国模試。」

そうかなそうなんだ。ほんとは、サンマはお昼のつもりだったんだよ。ヒィヒィ言いながらやっとこさのことで持ってきたら居なかったもんでから、夕飯にしたんだよ。」


……やっぱり、行く前に声かけとくべきだったね。


「うん、」


無駄足かけさせちゃってごめんね。そう言う前に、言葉を遮られた。


「ちょうど幸弘ゆきひろが帰ってきたもんでから子供達は柿とりに連れてったんかなのかって聞いたんだよ。」


幸弘。父の名前だ。柿とりというのは言葉の通り、我が家は干し柿を作っているから、剥くための渋柿をとりに行く作業のことだ。


「そしたら、違う、点をとりに行ったって言うもんでからびっくりしたんだほんでそれで、どうだったんな?」

「う〜ん……難しくて、なかなか解けなかったよ。」

「そうなんかな。」


彼女は軽く頭を上下させると、ドアに手をかけた。


「じゃぁ、勉強頑張りないよるんだよ。」

「うん。」


バタン、とドアが閉まった。私の返事が彼女の耳に届いたかも怪しい。腰を痛めているはずなのに、相変わらず行動が素早い。


持ってきてくれたサンマごはんをキッチンに運ぶために、踵を返した。

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長野のJC Mase. Kaoru @2731341

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