第12話『プロメテウスの功罪』

 ──火。


 それは、人類に、〈調理革命〉をもたらした。


 人類の食卓は多様化、という意味においては、豊かになった。


 だが……


 ビタミンが壊れた。


 ビタミンの溶出した水を捨てた。


 ミネラルが壊れた。


 ミネラルの溶出した水を捨てた。


 焼けたことにより、食べ物は酸化した。


 本来アルカリ性寄りだった人類の体液は、酸性に傾いた。


 そして……


 不健康になった。


 癌が増えた。


 血管系の病気が増えた。


 腸が悪くなった。


 善の腸内細菌が死滅した。


 大部分が腸で作られる、免疫細胞も死滅した。


 つまり人類は、自分で自分を病気にしたと言えよう。


 火は便利だが、全てにおいて万能なものではない。


 正しく、使うのだ。


 それを、プロメテウスは我々に伝え忘れた。

 



 ──そら、ゼウスも怒るわ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎週 月曜日 12:00 予定は変更される可能性があります

星期一の超極短編~げつようびのスーパーショート~ 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura

作家にギフトを贈る

カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ