-鬼祭-
古沼田
第1話-私ガ生マレテ来ナケレバ……?
「アレ…何ダロウ…此処?」
目ノ前ニハ大量ノ鳥居ガ奥マデ、ズット奥マデ続イテイル。
デモ、続イテイナイヨウデモアル。
「アンマリ奥マデイカナイ方ガイイカナ…」
トウクカラ祭囃シノ音ガ聴コエル。
「祭リ…?…………焼キ鳥屋台トカ出テルカナ?小腹ガ空イタンダケレド」
コンナ状況デ食べ物ノコトナド考エテイル余裕ナンテアルノダロウカ。
突如、後ロカラ鈴ノ音ガ聞コエタ。
———————————————————————————————————
「なんか今日、変な夢を見たんだよね」
2024年6月27日 天気:雨
「夢?」
「そうそう、夢」
「なんかちょっと不思議でさぁ、、鳥居がたくさんあって…遠くから祭りの音が聞こえてきたの!」
「へえ、としかならないけど。いいじゃない祭り、楽しそうで」
「でもなんか…こう!…不思議な感じの…なんか前に進めないみたいな…!」
「でも夢だったらありがちなんじゃない?そういうの」
「いや…なんか違うんだよねぇ…」
「??」
帰り道、
普段であれば、ただの夢だと思うところなのだけれど、なぜだかあの夢は、私の記憶にこびりついていた。
「あの夢を見た時点で、お姉さんはもう終わっていたんだよ」
鈴の音と、小さい女の子の声がした。
「えっ?」
誰もいなかった。
「…?」
私の帰り道には神社があった。もう管理もされていない、小さくて荒れ果てた神社。あの神社の前を通る時、なぜかすごく寒気がするから、いつもは遠回りをして避けている。
「でも今日はなんだか不気味なことがあったからなぁ…神社ってなんか神聖なイメージあるし前通っていくかぁ」
それが間違いだったのかもしれない。
神社の前を通っても、寒気はしなかった。
だけれど、家に帰り着くことができなくなってしまっていた。
進んでも進んでも、家につかない、なんなら同じ場所をぐるぐるしているみたいに、私は何度も何度も同じ光景を見続けていた。
「何よこれ…私この道通るの久しぶりだし道間違えてんのかな…そんなわけないよね…一直線に進んでいるはずなのにこんな…同じ場所をぐるぐるしているみたいになるわけがないじゃん…人も全然いないし…どうすんのよこれ…」
同じ道を進み続けて7回目ほどだろうか。
神社の前で、獣の唸り声のようなものが聞こえた。
私は直感的に身の危険を感じ走った。
だって、神社の前に大量血が流れている状況で、獣の唸り声なんか聞こえたら
誰だって怖いでしょう?
後ろから何かを破壊するような音が聞こえた。
「…?!」
私は後ろを見た、巨大な白犬がいた。
結構困惑した。
ただ捕まったら喰われてしまいそうなので、必死に逃げた。
でもそもそも犬の走る速さに私が敵うはずがなかった。
躓いた。
「ぅうわっ!」
流石に死を覚悟した。
終わった。
白犬が私の方へ近づいてきた。
そして口を開けて私を。
「っは!?」
「……ベットの上」
私は寝ていたのか?
制服姿のままだったので、とりあえず着替えようとしたが。
なぜだか親にすごい心配された…そしてすごく驚かれた…
それもそのはず、私は1週間ほど行方不明になっていたそうなのだ。
信じられず、スマホで日付を見てみたら。
確かに、7月27日だった。
なんで?という気持ちと、夏休みまで一気にスキップできて嬉しい気持ちと、あの道から抜け出せて嬉しい気持ちが混ざって不思議な感覚だった。
私にもう一度あの道に出向けるほどの勇気はなかったが。
よく分からないことばかりなのも事実だ。
あの道はなんだったのか、あの神社はなんなのか。
あの白犬のことも、何もかもがわからなかった。
でも、夢ではないのは確かだ。
どうして1ヶ月も経っている?私があの道を彷徨っていたのはせいぜい数時間のはずなのに。とりあえず、その日は寝た。
「お姉さんは生まれてきてはいけなかった」
鈴ノ音ガ聞コエル
マタアノ場所ダ。
「そう、生まれて来なければよかった」
目ノ前ニハアノ女ノ子ガイタ。
「生まれて来なければ…」
生マレテ…
「お姉さんが」
来ナケレバ…?
「お前が」
……………。
『お前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前がお前が!!!!!!!!!!!』
2024年7月28日 天気:晴れ
「また不思議な夢見ちゃったな…」
さて、これからどうしたものか、いきなり1ヶ月もの時をスキップしたのだ。
「夏休みにしたいことなんて何一つ考えてないよ…」
小説初心者の作者的にもそろそろ疲弊してきた。できれば今日中には完成させたい。
「とりあえず日の光でも浴びてくるか」
何も考えずに歩いていたら、近所の公園にたどり着いた。
そこで一休みしていると、何やら遠くから祭りの音が聞こえてくるのだ。
「…あれ、7月28日に祭りなんてあったっけ?」
祭りには行きたかったが、不穏な気配がしたので行かないことにした。
帰り道、突如として鈴の音がした。
「お姉さんがあの道から抜け出せなかった理由、白犬に襲われた理由。
あれ《ゆめ》のせいだよ」
まただ、また。
あの少女の声がする
「……あれ…?」
振り返っても、やっぱりあの少女はいない。
「……………」
家に帰っても祭りの音が聞こえてくる。
なんだろう、どことなく不安だ。
「…………疲れてんのかな…私」
第一話 終
-鬼祭- 古沼田 @konuta_
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