もう古流剣術と言われた俺が、地剣使いとして!最強の剣術使いと呼ばれるまでの物語!

@とむ

プロローグ

 ―せぁぁあッ!!


 ―はあぁぁぁッッ!


 もういいだろう、今日の稽古はこれまでだ。

 お前はもう立派な■■■使いじゃ。



 あの日から地剣は廃れた。と誰かが言った。



 魔法は、生活の中に組み込まれている。ただの剣術ではナノ剣には敵わない。とされている。

 魔法が日常生活のすべてを支配するようになり、剣すらもその一部となった。テクノロジーとされている。組み込んだプログラムにより具現化されるシステムにより、剣術はやがて消え去り、術式となり、流派はナノマテリアル剣術「ナノ剣術けんじゅつ」になった。


 かつて、侍と呼ばれていたものは絶滅し、やがて、剣士と呼ばれる。今では学武都市がくぶとし「教育施設」というところの学園で、いつか最強の剣聖と呼ばれるために学園内では、毎日のようにナノ剣を使った決闘が行われ、学生たちは腕を磨き合っている。


 毎年行われる学園最強を決める組手で勝ち上がることが、最強の剣聖への道だ。


(■は、地に落ち、地は、■に)という古くから伝わる言葉がある。その言葉の意味は歴史の教科書に載る程に、有名な言葉だ。


 この四角に入る言葉は何かということに対して歴史の専門家は、こんな言葉はないと言い、その歴史の言葉さえも否定した。やがてこの言葉は、完全にこの世から消え去った。


 俺のじいちゃんの言葉だ。今でも記憶の中に覚えている。


虚界明暦きょかいめいれき》―六三四一年。


 ―あれから10年の時が経ち、俺は、学武都市刃環に入学した。検査として、スマートウォッチ型軍用AIデバイス《Advanced Tactical System》通称『ATSアトス』という学武都市、刃環が作り出した。ナノ剣をプラズマ・プロジェクション技術で具現化する支給の専用デバイスである。これは軍事利用にも使われ各国で特許の所得を我先に手にしようとしているほどだ。


 このデバイスにできる事は、幅広く、バイタルチェックや学武都市の順位などが表示される。違法的な戦闘は禁止されており、デバイスとデバイスでの承諾による。「決闘デュエオ」は許可が必要だ。


 デバイスにより具現化されたナノ剣は殺傷力が高く、デバイスによるバトルモードに切り替えると周囲にバリアが張られ、学生同士が決闘で戦う場が作られる。


 違法行為をした場合には退学処分となり学武都市から出て行かなければならないというルールがあるらしい。その辺は学武都市に着いてから分かるだろう。


 学武都市に入ると誰かが、決闘を行っていた。


 ―システムアナウンスの通知が届く。


 スマートウォッチ「ATS」からディスプレイを展開させてAIドローンによって中継される決闘をリアルタイムで観戦することが出来る。うわっ、相手が悪すぎる。学武都市1位と10位の戦いだ。「ATS」からナノ剣を具現化させる。



「起きなさい! 反逆の焔リベリオン


 ナノマテリアルにより具現化されたのは、女性が片手で持つには大きすぎる大剣、両手で持っているが軽々と振り回し、炎を纏う青いナノマテリアル刃。地面に突き立てるとその炎は瞬間で消え去る。


 相手は、その威圧的な熱にやられそうになるが、魔剣を展開する。


「くし刺せ、鉄の貫刃アンスティール


 全てを貫くような槍。鋼のナノ槍だ。その鋭く尖った先端が女性に向けられている。


 炎がほとばしる中で真紅に近い薄い赤で、炎のような輝きが入ったロングヘア。情熱と強さを感じさせる色で、燃え上がるような美しさを持つ。バサりと髪を揺らして、鮮やかな赤で、意志の強さを秘めた瞳が俺を魅力する。美貌、その容姿に釘付けになりそうになる。

 白と青のブレザー、白いシャツに赤いリボン、濃いグレーのチェック柄スカート。制服風の装いだが、どこか洗練された印象も与える。


 それは一瞬の出来事だった。


 試合開始の合図が鳴ると、女性の姿は消えた。

 どこだ?と探し回る相手に対して一気に、懐に入ると

 燃え上がった赤い剣が、相手の腹を深く貫いた。


 相手は動くことなく、その場に崩れ落ちる。


 アナウンスが流れ勝者の名前が響き渡る。


「勝者、ミスラ・レミリオン!!」


 ―ミスラ・レミリオン。

 脳裏に焼き付けるように、その名前を覚える。

 これが第1位の実力なのか、学園のランキングは常に変動している。今確認すると俺のランキングは99位つまり最下位、最低ということになる。こんなやつにランキング戦を申し込んでも意味がないだろう。

 すると一通の通知が届く。学園長からのようだ。


「ようこそ、学武都市刃環がくぶとしはかんへ、新道透しんどうとおる。この学武都市ではランキングが全てだ。力のあるものが頂点にたつことを許される。お前の実力を確かめるために、私が対戦相手を組んでやったぞ。喜ぶがいい。場所の位置はATSにマーカーを配置してやる、その場所まで行くとよい。それでは、また会おう」


 そう言い、音声メッセージが切れる。

「仕方ない、行くか、特に行くところもないしな」

 マーカーが記してある場所につくと一人の女性が立っていた。


 見たことがある。ミスラ・レミリオン。


 俺に気づくとため息をつき話しかけてきた。


「決闘を申し込んでおいて遅刻するなんて、剣士として最低ね。どうせ、私には絶対に勝てないけど」


 ―ミスラ・レミリオンが、決闘の承諾をしました。

 ―《AR仮想空間フォースフィールド》を展開します。


 空間が揺らめく。


「待ってくれ、これには、訳があるんだ!」


「うるさいっ、うるさいっ、私のあんな写真まで、送り付けておいて、脅迫するつもりね。いいわボコボコにしてあげるわ。起きなさいっ、反逆の焔」


「仕方ない」


 いざ、参ろう―《錆斬ザビギリ


 その刀身は、長く、そして薄い。反射するように映された。俺の顔。どこからか飛んできた葉っぱが刀身に触れると緑葉は瞬間に綺麗に切れる。

 妖刀 錆斬。どこかの国の刀匠が刃の斬れ味のみを追求した錆びることのない地剣。


 開始のブザーが鳴る。先ほど、見た試合のようにミスラ・レミリオンの姿はない。懐に入られる前にカバーをしなければと思い守りに入る。


 ―重い一撃!


「これ受け止めるの!以外ね、じゃ次はっっ!」


 ナノ剣を横に構え、炎を纏った刃で俺に斬りかかる。


「ウォッ!」


「そんな古臭い剣術で、私に勝てるの?」


「そんなことはない!」


「じゃあ、見せて見なさいよっ!!」


 俺は、鞘に錆斬を戻して、腰に刀を添えて、片足を重心とし、ストッパーの代わりとする。


 心ノ月抜刀術しんのつきばっとうじゅつ高鳴たかなり


 俺は、閃光のような横切りを放つ

「はやっいっっ!」

 と言いつつも、超高速横切りを簡単に受け流された。

「やっぱりダメか!」

 高鳴ではダメだったようだ。他の抜刀術を試すしかない。


 続けて、心ノ月抜刀術―虎頭ことう

 俺は剣を前に突き出して、逆手持ちをする。そのままステップを踏み、相手の動くよりも早く間合い詰める。剣が逆手持ちをしていたことで剣は宙を舞う。


「ふふふっ、好きだらけよ」

 剣を振りかざして、勝利の笑みを浮かべる。しかし

「いや君がね」

 俺は鞘をミスラの横腹に叩き込むことでそれを回避した。

 剣を再び手にとり間合いをとると次の抜刀術を構える。

「ちょっとはやるじゃない。でも甘いわ、それだけでは私には勝てない、わかるでしょ?」

「わかっているさ、それくらいっ!」

 心ノ月抜刀術―乱達らんたつ

「さっきよりも、はやっ!!」


 斬撃のスピードに全てを注いだ。乱達、さすがのミスラもこれほどの斬撃は受け流すことは出来ずにダメージを負う。

「このぉぉおっ!!」

 剣を地面に突き刺すと地割れが起き、俺の足場が崩れる。だが、隙ができた。


 心ノ月抜刀術―終の地ついのち

 下から上に刀を振り、一撃を入れる。

 ―浅い。

 しかし2連撃である終の地、には続きがある。

 終の天ついのてん一刀いっとう

 両手で柄を持ち、一気に振り下ろす。

 天は地に落ち、地は、天に。心ノ月抜刀術2連撃

 よし、斬ったと思っていたが、まだ彼女は立っていた。


「本気で、相手をしてあげる。奥義形態フォルムチェンジ!リベリオン!」


 炎のマントを身に纏う。やがて炎は、鎧となり剣の先を補助するように炎の刃がつく。


「わかった。君が本気なら僕も応えよう。最強、最速、最短で、君を斬るっ!!」


 刀を鞘に収めて、ゆっくりと前傾姿勢をとる。呼吸を吐き、力を脱力させる。足に最大の力を込めて、全力でかける。


 炎の玉が飛ぶ。、しかし、肉を切らせて骨を断つかのように、止まることはなく、むしろ加速していく。


 距離が近づく。


 ―心ノ月流奥義、抜刃しんのつきりゅうおうぎ ばっは


 ―静寂。


 神速一体となった一撃。その背後に倒れているはミスラ・レミリオン。

 鞘にゆっくりと刀を納める。


 カチンという刀を納める音とともに試合終了を告げるシステムアナウンスが響く。


 心ノ月流剣術しんのつきりゅうけんじゅつ、勝者ー新道透。


 学園内に衝撃の出来事が起きる。

 99位の廃れた剣術によって、学園1位のミスラ・レミリオンが敗北した。と。


 都市はパニックになっている。

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もう古流剣術と言われた俺が、地剣使いとして!最強の剣術使いと呼ばれるまでの物語! @とむ @miwaka_sai

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