第6話 アンリ王女

次に私が向かったのはこの国の最西にある喫茶店だ。

 私は、連絡していたのだ、アンリ王女と。


 今朝、手紙を出した。私が反乱計画のすべてを知っているという事を伝え、そのうえで私に手伝いをさせてほしいという事。

 そしてこちらにはただこの国に、侵略しないという条件で手を貸すという物だ。

 正直乗ってくれるかはごぶごぶ。

 何しろ、我が国が侵略できないという事は後々かの国にとって困る結果になるかもしれないから。


 アンリ女王は自国に力を入れ、軍は最低限にし軍事費を減らすという政策を持っている。

 だが、それで国が成り立たなくなった場合軍事に手を入れる可能性もある。

 その時に不可侵条約を結んでいた場合、困る結果になるかもしれない。

 無論、私もそれは分かっている。だからこそ、今日このレストランを貸し切って二人で話をしたいという訳だ。


「お待たせしました」


 すぐに彼女は来た。

 変装用か、サングラスをかけている。

 本来アンリ女王はこの国、マレーラ王国に入ってこれないはずだが、そこは私がそっと

 この交渉をさせるために。

 本来こういうのは王城でこういうのはやるべきだ。

 しかし、これは私の独断なのだ。

 変に公的なものにもうするわけには行かない。


「とりあえず」私はカフェラテを飲む。


「手紙は読みましたか?」

「ええ、読みましたとも。なぜ、私の計画に気付いたかどうかは謎ですが、力を貸すという話ですね」

「はい」

「まず前提条件を話しておきます。私たちの方が立場は上なことは分かっていますか? 私は元からあなたの力を借りずにこの計画を実行するつもりだったのです。だから手を借りるつもりなどありません」


 そう言われるのは分かっている。だからこそ、その対処法ももちろん備えているのだ。


「私はそうとは思えません。私たちは前もってあなたたちに対処するように動いています。ですが、貴方の計画ではすんなりと落ちてくれなければいけないはずです」


 何しろ、私たちを倒してくれて、その間にこちらに侵略した際に国を乗っ取る。

 すると、すぐには返ってこれず、その間い国を乗っ取る。

 そして、旧王派閥は国に戻れずやむなく私たちの国を乗っ取るしかない。

 そうなれば元々の領土がでかいアンリ王女が優位に立つ。だけど、私たちが抵抗した場合、反乱の知らせが入ったときにまだ国の中央部まで行っていない状態で聞くことになる。

 その場合、引き返し、鎮圧するという行為が可能になる。

 それに、私たちは守護側だ。わざわざ追撃などしない。

 その点で、私たちは優位だ。


「だけど、私たちは抵抗します。その際に、敵は引くでしょう。その際に私たちが追撃するかしないかで、成功確率は変わるはず」

「しかし、抵抗したとて、所詮は小国り大国にはあらがえないはず」

「抵抗するとは言っても、地の利を生かした抵抗です。これだとそう簡単に崩れることは無いでしょう。そうなったら困るのはあなた達です」

「脅しね」

「ええ、脅しです。私たちは勝つためには手段は選びませんから」


 もっとも脅すのだったらアンリ王女が反乱を企んでいるという事を伝えればいいだけの話だが、それだとこちらとして森に敵っていない。


 だからこそ、私とアンリ女王。どちらもWINWINになるように交渉を進めるべきだ。


「今のところは、王には伝えてないのよね」

「一応サメリダ王国には伝えていますが、我が国には伝えていません」

「つまり、今私とあなたが会っているという事は、誰も知らないってわけだ」

「ええ」


 その瞬間、アンリ王女は私の首を軽く占める。


「今、貴方を殺せば、私の反乱計画を知るものはいなくなるわね」

「どうぞ。でも、今私を殺せばあなたは重要参考人。数に素性は洗われ、貴方が私を殺したという事実がバレる。その時にはこの国から出れると思わないほうがいいでしょう」

「そんなへまをするとでも?」

「どうでしょう。しかし、私から一つ言えることは、今私を殺せば、後悔するってことです」

「はっ。……白けたわ。いいでしょう。あなたと同盟を組みましょうか」


 危なかった。

 首に手をかけられたときは終わったと覆ったよ。

 私は別に強くはない。

 力をかけられたら死んでた。


 そして、私は早速ヘンデルソン様と、国王の元へとアンリ王女を連れて行った。

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婚約破棄されたわたし、隣国の王宮での連続毒殺事件を解決しながら王太子殿下と幸せに過ごします 有原優 @yurihara12

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