第4話 出会い②

幸い、僕のところには来ていない。

後ろ側を向いていることも理由かもしれない。

獣人の感覚は普通の人間より鋭い。

見られていてもお構いなしだ。

常識的に考えて、このあまり動けない状況で、彼女を止めることはできないだろう。

人間は獣人と比べて早く動けない。

基本的な、運動や反射神経は獣人の方が上だ。

今回は見られているから狙わないと解釈したい。

決して、持ち合わせが少ないことを、本能的に悟られたとは思いたくない。


ある程度回収できたのか、彼女は人集りから抜けようと行動していた。

スムーズに動く、さすがは獣人。 


僕も負けじと力を入れ、流れを掴み、なんとか抜け出すことに成功。

獣人の向かった方角は記憶している。

急ぎその跡を追うことにした。



僕は至って普通の嗅覚だ。

匂いでは、獣人の跡を追うことはできない。

獣臭探知はできない。


でも僕には、他人にはない特技がある。

特異な体質ともいうべきか。


それは、人や物の熱量エネルギーを感じ取ることができる、というものだ。

それは無機物に対しても有効で、有機物に関しては無機物以上に、その軌跡も感じ取れたりする。


とても便利だ。

一人旅をしていても、時間がかかる場合はあれど、目的地にはたどり着ける。

ただし、迷路みたいな場所では厄介。

熱量エネルギーがあらゆる方向に存在するため、しばしば迷ってしまうこともある。


今回は、問題はなさそうだ。

比較的、普通の街並みであるし、彼女が向かった先は人気の少ない路地裏のようだ。

対象が少ないと分かりやすい。

左右に何度か曲がると、目的の場所に着いたようだ。


「やあ、こんにちは」

「ふぇ!?」


何故場所が分かったのかと言わんばかりに、こちらを凝視している。

他にも数人、驚いている。

獣人ではない、普通の子ばかりだ。

彼女を16.17の歳とすると、6〜12歳くらいの子供が、4人いた。

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シンなる旅路 飯屋クウ @QKuuuuu

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