人格者ユスティナ

 私は光の銃を罪人へ向けていた。罪人は酷く怯え、顔を隠している。そして私の頭の中にはエレーナがいた。


 目に見えないエレーナは、光の銃を軽く上から押さえた。


「はぁ――」


 光の銃を取り下げ、見下したまま手を差し伸べた。当然、罪人は困惑している。


「お前よりも、死んだ方がいい人間はいっぱいいる。元執行人でしょ?ついて来て」


 別に私は、エレーナとかリュドミラが嫌いなわけじゃない。父であるエリオットや母であるミシェルも同様だ。どうでもいい。


 恨みつらみでの行動は疲れる。執行人をもってそれを実感した。


 今の私は、ただ生きていくために働くだけ。やることをやるだけ。エレーナやアレックス、ソニアを殺したのもそれだけの理由。


 時の運が違えば、生きていたかもしれないとリュドミラが言った。ごもっともだ。でも既に死んでいる。結果論はゴミだ。


 だからこの私――――


「あんた、名前は?」

「私はミーシャ…………いや、ユスティナ・アルトリウス。カリステンの革命家だよ」

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ミーシャ 上白糖 赤飯 @etoetoetoeto

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