第2話ようこそ孤独の回廊へ

気を失ってからどれくらいの時間が過ぎただろうか


暗闇の中をずっとひとりで歩き続けている感じだ


あぁ、死ぬとこうなるんだなと思いながらひたすらに歩く


歩く歩く歩く歩く歩く歩く歩く走る走る走る走る


そうしているうちに向こう側に1つの光が見えた


それが吉となるか凶となるか分からないけど


俺は必死にそれを目指して走った


「はぁはぁはぁはぁ」


ようやくたどり着いた頃には息が上がりすぎていて呼吸をするのでやっとだった


これでようやく救われる、、、、、、


そう思い手を伸ばした瞬間




俺は知らない空間で目を覚ました


今までの息苦しさはなんだったのかというようなスッキリとした気分だった


「ここはどこだ、、、、?」


辺りを見回してみる


周りには多数の本棚があり、その中には古そうな本がぎっしりと並べられていた


周りを不思議がって眺めている俺の脳内に


「ようやく起きたのか!おはようなのじゃ!」


と誰かの声が響き渡った


初めてで何か奇妙な感覚になりながら


「誰だ、どこにいる、ここはどこなんだ?」


聞きたいことを連呼する


すると、声は


「まあまあ、そこまで必死に質問せんでも良いではないか。順番に答えていくぞ」


と言ってきた


「じゃあまず姿を現してくれるか?


この頭に響きわたるような感じが最悪なんだ」


「ふむ、妾の姿を拝みたいといいじゃろう


ちょっとまっておれ」


そう答えると声がピタリとやんだ


一体何をしているんだと思いつつ静か本でも読んで待っていようと本に手を伸ばす。


開いた瞬間に


「うわぁ、、、、、」


思わず声が出てしまった


文字が全くと言っていいほど読めないのだ。


「これこれ、そんな弄るでない


本たちも恥ずかしがっておるぞ?」


本に感情なんてあるのか


そっと本を戻すと声が


「それではお披露目といこうかの


刮目せよ!」


そういって目の前に1人の女の子?が現れた


銀色に青いメッシュの入った艶やかで腰付近まで伸びた髪


透き通っていて思わず見入ってしまいそうな青く澄んだ目


身長は大体150cmぐらいに見える


いかにも着物といったような服に身を包んでいる彼女は


「どうじゃ?あまりの可愛さに見惚れてしまったかw?」


とからかってくるが


「うん、めっちゃ可愛い」


「あ?え?」


素直に感想を伝えると彼女はとまどい顔を赤面させながら後ろを向いてしまった


「どうしたの?大丈夫?」


尋ねてみるが返事が返ってこない


「なんでもない。少しくしゃみがでかかっただけじゃ」


彼女は下手な咳払いをしながらこっちを向き直した


耳がまだ少し赤くなっている


可愛いなと思いつつ気になることをいくつか質問する


「本題からズレてしまっているんだが、ここはどこなんだ?」


「そうじゃった、そうじゃった


ここは死んだ者の魂が集まる場所、


通称【孤独の回廊】じゃ


地球という星では通常そのまま輪廻に戻されるはずなのじゃが主は願いが強かったらしくここに留まっているみたいじゃ」


願い、、、、?


少し考えてハッとした


「あの二人はどうした!?


無事なのか?今どうしてる?」


「そうせかせかするでない


しかし、、、、、記憶に少し障害があるようじゃな」


2人が無事ということを聞いてひとまず胸を撫で下ろす


「2人にまた会うことは出来ないの?」


「ふむ、、、不可能では無いと言えば不可能では無いが、、、」


「早く教えてくれ」


そう言ってぐいと顔を近づける


「わかった、わかったわかったから顔を離してくれ!


妾の権力でも直ぐに戻すのは不可能なのじゃ」


「どうすればいいんだ?」


内心焦りを抑えられず更に顔を近づける


「ひゃぁ!?」


彼女はもんどりうって後ろに転がっていった


「バッばかもの!顔を近ずけるなとあれほど!」


顔を赤らめて恥ずかしがっているが今の俺には気にしてられない


「早く教えてって」


「今から転生させる国で魔王を倒したら元の世界に戻してやれるのじゃ」


物凄い早口でまくし立てると姿をくらませてしまった


「どこ行ったの?


まだ聞かなきゃ行けないこと沢山あるんだけど」


「ふん!ひとりで解決すれば良いではないか


このバーカバーカっ」


とても子供らしい言動に俺は咄嗟に


「そういえば、あんたは誰なんだ?」


と言ってしまった


直後、


「知りたいのか!?教えてやろうか!?」


彼女はまた幸せそうな顔をしながら現れてきた


もしかして、この人扱いやすい?


「さっきからあんたや彼女などと呼んでいるが仮にも妾は神なのじゃぞ?


敬意を示さんか!敬意を!」


これが神、、、、?


「あーまたそうやって妾をバカにする!


妾は思考が読めるのじゃからもっと気遣いしてほしいのじゃ」


「思考が読める?」


「そうじゃ!凄いじゃろう!」


じゃあこれとかも?神様は可愛い


「だぁああそうやってまた妾をからかう!」


「はいはい、ごめんって」


2人の無事が確認できて少し気が緩んでいるのだろうか


俺は普通に彼女と会話してしまっている


「と・に・か・く、主は今からまた転生するのじゃからここの質問はもうこれで良いな?


一応転生先の要望を聞いてやるぞ?」


まあ確かに聞きたいことは聞けたからいいか


転生先の希望か、、、、


「俺を神に出来る?」


「残念ながら無理じゃ」


「じゃあ、国の支配者に」


「それも無理じゃ」


「さすがにチート能力位は、、、」


「無理じゃよ」


「じゃあ何ならいいんだよ!」


「そうじゃな、、、、、、それならばいい事を思いついたぞ!」


なんかろくでもないことの気がする、、、、


「妾の知能を常に授けてやろう!」


、、、、、、、え?それだけ?


普通異世界転生と言ったらチートでしょ


「そう邪険にするでない


主が行くのは『投票で生死が決まる世界』じゃ!」


投票で生死が決まる世界、、、、?


「その世界ではな国のお偉いさんたちが死んだ時各国の有力者の投票を過半数得ると生き返れるのじゃ!」


めっちゃいいやん


「ふふん、気に入ったか?」


「じゃあそこに転生させてくれるか?」


「よし!では左手を出すのじゃ!」


そう言われ俺は左手を差し出す


《世界の叡智を集約せしこの妾の頭脳妾の権能を持って今この人間涼風智弘に分けたもう全てを統べる者によりこの契約を永遠のものとする》


神による詠唱が終わり俺の左手の甲には蛇をイメージしたかのような紋章が浮かび上がった


「それがある限り妾は主を助けられるぞ!」


どんな世界なのかとても楽しみになってきた


「それでは転生させるぞ!良い人生を!」


そう聞こえたと同時に視界が暗くなりしばらくして明るくなった


俺は転生したのだと直感した


いち早く魔王を倒して2人に会うんだ


そう固く決意して俺は第一声を上げた


「おぎゃァおぎゃあ」

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破壊と策略の生死投票 @hosikage0322

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