男女比が1:99になった世界で百合ハーレム作る話

水面あお

第1話 わあい百合ハーレムだ!

 見渡す限り女の子しかいない。 

 わたしはそんな世界に生まれた普通の女の子、久米くめ明美あけみ

 

 前世では男女比なんて1:1が当たり前だったのに、どうやらこの世界では男女比が1:99らしい。

 

 男の子なんて滅多に見られない。

 天上の存在で、一般人にはなかなか手が届かない。

 そんな世界だった。


 わたしにとって、この世界は理想郷そのものだった。


 だって――女の子が好きなんだもん!



 前世の記憶があったわたしは、早速百合ハーレムを作ることにした。

 

 だって、こんなにいっぱい女の子いるんだよ! 作るしかないよね!


 まわりの女の子は、みんな数少ない男の子に好かれるため、バチバチした戦いを繰り広げてたけれど、わたしにはどうでもいい。

 

 そんなことよりみんなわたしと付き合ってくれないかな?

 なんてことを考えていた。


 この世界では元の世界より女の子は男の子を求めている。

 だから、わたしはそれを逆手に取った。

 ボーイッシュな感じになってみたのだ。

 

 といってもわたしも女の子。

 可愛らしい格好が好きなので、それが損なわれないように絶妙なラインを攻めた。

 

 かっこよくも可愛い。

 そんな姿を目指して自分を磨き続けた。


 そして、女の子には常に目を見て優しく接するようにした。

 髪型を変えた時は褒めることもかかさない。

 その子のお気に入りと思われるものについては、わたしも必死に学んで語り合った。

 

 わたしのためにしてくれた些細な行動には丁寧に感謝を述べた。

 


 そしたら、徐々にだが目に見えて周囲の反応が変わってきた。

 伸ばしても届かない男の子よりも、近くにいるかっこいい女の子であるわたしに惹かれ始めたようだ。

 

 数年間練磨し続けたわたしは、やがて高校生となった。

 入学してすでに一か月が経つが、教室に入ると、女の子の視線が一斉にわたしへ集まる。

 なかには、ぽーっと顔を赤くする子もいた。

 

 わたしはその子、さやちゃんに向かって話しかける。


「どうしたの? 顔赤いよ?」


「……はっ!」


 ぽーっとしたところから回復したらしいが、わたしが近くにいたので一層取り乱し始めた。

 

「あのあのあの……あけみちゃんっ!」


「なにかな、さやちゃん?」


「あたしと……つ、付き合ってください!」


 たくさんの人が見守るなか、さやちゃんは強気なことに告白をしてきた。

 その顔はさっきよりも真っ赤で、言った後にアワアワと慌てている。

 そんなさやちゃんが可愛くてたまらなかった。


「いいよ。付き合おっか」


 わたしはさやちゃんの頬に軽く口づけした。


「ひゃっ……!」


 さやちゃんは甘い声を上げる。

 

 顔を離さず、今度はさやちゃんの耳元に口を近付けて「可愛いさやちゃんが大好きだよ」とわたしは言った。


 さやちゃんはそれで力が抜けてしまったらしく、ひょろひょろと床に座り込んだ。


「ちょ、ちょっと待ってくださいませ!」


 と、そこへ、なつちゃんが大声をあげて割り込んできた。


「わたくしも、いえ……この教室にいる全員が、あなたのことが好きなんですよ! たった一人と付き合うことになってしまえば暴動が起きますわ!」


 周りを見ると、賛同するような声が聞こえてくる。


「ですから……わたくしたち全員と付き合うか、それとも誰とも付き合わないか。そのどちらかしか許しませんわ!」


 なつちゃんが言うことは的を射ていた。

 たしかに、このままさやちゃんとだけ付き合えば、揉め事が起こるかもしれない。


「……わかった」


 わたしはゆっくりと深呼吸して、告げた。


「みんなと付き合うよ」


 だって―― 

  

「わたしはみんなのことが、大好きだから!」


 必死に努力して、自分を磨く女の子たちはみんなすごく可愛い。そして、優しいのだ。

 

 だからわたしは、そんなみんなことが大好きだ。

  


 その日から、登校、昼休み、放課後、休日それぞれでたくさんの女の子と付き合い始めた。全員公平になるよう、うまく調整して。

 

 もちろん、みんなで集まって楽しく遊んだり、旅行もたくさんした。


 女の子に囲まれる日々。

 すごく幸せでたまらない。

 

 最高の百合ハーレムだ!

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男女比が1:99になった世界で百合ハーレム作る話 水面あお @axtuoi

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