第6話 射精管理


「やっぱり泣き出しちゃったね。あの漫画って大げさじゃなかったんだね」


「男の子って、本当に寸止めされるときついんだね」


「勉強になったわ」

 遠藤さんと田中さんが言いあっている。


 僕は三回目の寸止めの後、最後の遠藤さんの番でやっと射精を許されたのだった。

 そうして大きな脱力感の中、僕は縄を解かれた。


「ミチルくん、どうだった? もうこりごりかな? それとも、次はもう少し先まで行ってみる?」

 ソファーに全裸のまま横になった僕の顔を覗き込んで、里緒菜さんが聞いてきた。


「もっと先ですか?」

 脱力した僕は声もかすれていた。

「そうよ。マンガでもあったでしょ。憶えてるよね」

 里緒菜さんは言いながら僕の頭を撫でてくれる。

 飼い主に撫でてもらう犬の気分、それは屈辱的なことだと、これまでは思っていただろうけど今はすごく喜びを感じてしまう。


 僕は起き上がって、下着を履きティーシャツを着た。やっと人心地ついた気分だ。


 向井さんが人数分のコーヒーをトレイに乗せて現れた。

 もっと先か。漫画の中では、男の子がお尻とか乳首とか調教されていく様子が描かれていた。


 僕はそれに耐えられるだろうか。いや、それを望んでいるんだろうか。

 男らしい男だったら、こんな時どうするべきなんだろう、とか考えてしまう。


 何か、反撃とか仕返しとか考えるものなんだろうか。


 でも、僕の中にはそんな反抗心は生まれてこない。

 僕は男失格なんだろうか。


「ミチルくんが嫌じゃなかったら、あたしたちもう少し先までやってみたいんだよね」

 向井さんが僕の足を触りながら言った。


「今日じゃなくて、また今度でも。どう?」

 僕は里緒菜さんを見る。


 彼女はうんと一つうなずいて、ミチルくんの好きにいいよと言ってくれた。


「里緒菜さんが望むなら、僕は、それでいいです。僕は里緒菜さんが好きだから」

 僕の想いが口からこぼれ出てしまった。


「あたしも、ミチルくんが好きよ。かわいいから」

 里緒菜さんに好きと言われるのはうれしかった。かわいいからというのが余計だとしても。



「それじゃあ、第二段階いくよ」

 と里緒菜さん。

 何ですか? と聞くと、


「第二段階は射精管理。ミチルくんが自由にオナニーしたりできないようにするの。射精する権利を奪われるということ。漫画にもあったでしょ」

 いま、僕は思い切り射精したばかりで、性欲が落ちてるから、しばらくオナニー禁止と言われてもそれほど拒絶したいとは思わなかった。


 仮にそんな約束したとしても、一人の時間をすべて監視されるわけじゃない。


 抜け道はいくらでもあると思ってしまったのだ。

 だから、遠藤さんの手の中からそれが現れた時、僕は少し焦ってしまう。


「これ、CB6000S っていうタイプの貞操帯だよ。帯になってないから、貞操具ということもあるけど、呼び方はどうでもいいよね。これを今日つけて帰ってもらって、次回は一週間後ってことにするから。鍵は里緒菜に持っててもらうから、万一の場合はバイトの時に里緒菜に言ってね」

 僕のジーンズと下着は、再び遠藤さんの手で引きずりおろされた。


 現実離れしたことの連続で、僕の感性も異常になっていたのかな、僕は抵抗することもなくされるままだった。


 遠藤さんの手で、僕のたまたまが持ち上げられる。そして、里緒菜さんが陰部の根元をプラスティック製の輪っかで挟む。輪っかの大きさはこれでいいかな、とか言いながら、その上にペニスを収めるカップがかぶせられた。


 すっかり萎えてしまっている今の僕の物に対しては、少し余裕のあるカップの大きさだった。

 でも、勃起した状態だったら、この中に収めるのは不可能だろう。

 つまり、これをつけられてる状態では、興奮したとしても勃起できないことを意味している。


 その時が来たら、どうなるのか、想像することもできずにいる中で、その音が聞こえた。

 いくつかパーツを組みながら、最後にミニサイズの南京錠がバチンと音を立てたのだ。

 それは僕の射精権が閉ざされたことを知らせてきた。



「さて、来週の日曜日まで、これをつけて射精管理されたら、ミチルくん、どうなってしまうかな。とりあえず、明後日がバイトのシフトだったよね。まあ、それまでは大丈夫だよね」

 里緒菜さんが、また僕の頭を撫でてくれた。



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ドSな彼女 放射朗 @Miyukiharu

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