第5話別れは唐突に

それからの私とフランヌの関係は、がらりと変わった。

前までは、私がフランヌに錬金術を教えてもらうだけだったけど。

今は、フランヌの錬金術の授業が終わると。そのまま森の奥にある。

湖で、二人で足だけを水に浸け。二人で、キャキャとはしゃいだ。

まるで、貴婦人が戯れみたいに。そこには、二人だけの世界が

 広がっていた。「ねぇ、メアリーは受けるの?」フランヌが唐突に

私の顔を見ながら聞いて来た。「なにを?」「錬金術の資格」

毎年開催している。国家錬金術師の試験の事をフランヌは

言っていた。「まだ、無理だよ」「どうして?」

「ど、どうしてって・・・・・・・錬金術の基礎知識は

 フランヌから教えてもらっているから。知識の方は

 大丈夫だと思うけど・・・・・・実技が・・・・・・ちょっとねぇ」

 錬金術師になるには、国指定の試験を受けなければならない。

 錬金術の知識とその応用を答える。筆記試験と、錬金術を

 使う実技試験の二つの合計点数の総合で決まるらしい。

 いくら筆記試験で、いい点数を取っても実技がダメなら、意味がない。

 私の場合は、錬金術の知識には自身はあるけど。

 実技には自信がない。理由は、単純な経験不足だ。

 こんな森の中で、錬金術の練習をするにはもってこいだが。

 錬成の速度は遅いし。つまりは錬金術の経験と知識が

 知識が釣り合っていない状態だ。

 「今年は、無理でも。来年は受けようかなって、思っているよ」

  何も焦る必要はない。もっとじっくりとフランヌと一緒に

 錬金術を学び。実践を積んで、一年後。国家錬金術師の

 試験を受ければいい。「だからさぁ。来年、頑張るよと」

 隣のフランヌに顔を向ける。フランヌは、私から目を逸らした。

 それで「うん。頑張ってね」フランヌが、笑顔で言っていたが

 私にはフランヌの哀しそうな表情をしているように見えた。

 「うん。私、頑張るよ」私も笑顔で、フランヌに答えた。

 悲しそうな顔から、笑顔で私の方に顔を向ける。私は

 フランヌを見て。「うん」と首を縦に振った。こんな他愛もない。

 私たちの日常は、唐突に終わりを告げた。「えっ⁉なんで?・・・・・・」

 急な出来事に、脳が追いつかない。「なんで、なんで、フランヌが・・・・・・」

 私の目の前で、フランヌの死体がそこにはあった。

 街のど真ん中の道路で倒れている。フランヌの亡骸があった。

 フランヌのお腹から、大量な血が溢れ。

 「これは、一体。どういう事なんだ?」「不気味だわ」

「この街で、こんな悲惨な事が起きるなんて・・・・・・」群がる

 群衆が、フランヌの元に集まり。適当に話していた。

 その話声が雑音にしか聞こえない。「何で・・・・・・何で・・・・・・

 何で、フランヌがこんな・・・・・・こんな・・・・・・こんな目に

 あわないといけないの・・・・・・」途切れ途切れの群衆の言葉も

 ノイズかかって自分の耳に聞こえてくる。私は、その場から

 逃げるように走った。前から歩いてくる通行人にぶつかりそうに

 なりながら。がむしゃらに走った。走って、走って、走りまくった。

 走って、向かった場所は。フランヌと一緒の時間を過ごした。

 森の中にある。ツリーハウスに私は向かった。

「はぁーはぁーはぁー」走ったから、息が荒く肩を上下に激しく揺らす。

 「フランヌ。私を一人にしないでよ」膝から崩れ落ちた。目から涙が出た。

 家族以外で大切な人と突然の別れが辛かった。母が病気で亡くなった時に

 一晩中。私の傍に行ってくれた。フランヌと出会ってから。

 フまだ、二年だけだけど。それ以上の濃厚な二人の時間を心の底から

 感じている。二年の歳月が経つのに。「そう言えば。私って、フランヌの事。

 何も知らないかも・・・・・・・」何も知らない。

 住んでる場所も、家族の事も、私以外にも友達がいるのかも。

 私は、何にも彼女の事を知らない。「何で、知ろうとしなかっただろう」

 悲嘆した言い方をした途端。また、目から涙が出た。

 私は、ただ泣きまくった。ひたすら泣いた。体中の水分が枯れるまで、

 自分の事を嫌いになりそうだった。いや、むしろ嫌いだよ。自分の事が

 ツリーハウスの扉に体を付けていると、ツリーハウスの床に一冊の本が

 ページが開きぱっなしで、私の目の前に置いてあった、

 開きぱっなしの本は、フランヌが家から持ってきた。錬金術の本だった。

「錬金術・・・・・・。錬金術とは思想、哲学、化学などの考え方を合わせ。

 その力で、様々な物を生み出す事ができる。技術の事を言う。一部の地域では

 錬金術の事を魔法と呼ぶ地域もあるらしいが。錬金術は、

 正確には魔法ではない。錬金術は、すべての理で等価交換の元に成り立つもので。

 その技術を悪用してはならない」淡々とフランヌから、教わった。錬金術の知識を

 口から吐き出す。それに意味はない。「錬金術では、禁止されいる行為があり。

 それを三大禁忌と呼んでいる。一つ、国家に逆らってはならない。錬金術師は

 国家資格だ。国の為に、その技術を使わないといけない。その国に嚙みついては

 ならない。二つ、金の作ってはならない。金は災いの元であり。金で、人々の心を

 操れしまう。なので、必要以上に金を作ってはならない。三つ、人を作る並びに

 死んだ人間の蘇生をしてはならない・・・・・・」三つ目の禁忌を言った直後。

 私の頭に、電撃が奔った。「会える。また、フランヌに会う方法をみつけた」

 私は、小屋の中にある。錬金術の本を拾い上げ。黙々と本を熟読した。

 「来年じゃなくて。今年、受けるんだ。国家錬金術師の試験を」

 私は、錬金術師になる事を決意した。もう一度、もう一度。

 フランヌに会う為に。会って、フランヌの事を知る為に。会って

 フランヌに愛しているって伝える為に。私は、錬金術で禁忌を犯す事にした。

 

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愛を叫んだっていいだろう 鐘を鳴らす怪物 @yo-81u

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