たこ焼き文学

純文学。

15年という年月は、実際とても長い。文章の端々からも郷愁が感じられる。
かつての少年は立派な青年となり、故郷へ戻ってきた。
ポスターも変わってしまって、良くしてくれたたこ焼き屋の店主もいなくなってしまう。
けれど15年経っても変わらない景色はあって、当然のようにたこ焼きは9個ある。
そんな普遍的な景色に自分を重ねるシーンで、この物語は締められた。

独特の文体で綴られる、モラトリアムな男の子のお話。
だが、決して読みにくい訳では無く、たこ焼きと絡めた心理描写も見事。
面白い。