第9話

 家に戻り部屋に入るとベッドへダイブする

 今日は少し疲れたな…

 たくさん歩いたし、話したし。

 顔を埋めたまま足をバタバタしていると


「制服シワになるぞ」

 いつの間にか理仁が部屋のドアを開けて立っていて


『理仁』

 寝転んだままおいでおいでと手招きすれば中に入ってきてベッドにもたれるように座った


「で、いたのか?」

『うん。いた…。ママ意外と面食いだったみたい』

 陽ちゃんを思い出してふふっと笑う


『私また会いに行くことにしたから』

「は?今日だけって言ってなかった?」

『会うまではそう思ってたけど、もっとママの話聞きたくなっちゃったの』

「向こうだって迷惑だろ?それに営業中じゃ陽香は入れないだろ」


 理仁の言葉にもらったカードを見せ

『へへーん。これ貰ったんだよ♪』


 思わぬ返答だったのか理仁も目を丸くしてぱっとカードを取って見てから私を見つめて


「ロリコンじゃないだろうな?」

『まさか!渋い大人って感じで女の人には困ってませんー。て感じだったよ?私がどうしてもまた来るって言ったら、バーじゃなくてレストランにいるときがあるから、その時だったら良いって♪ここへ連絡してこいって言ってくれたの』


「馬鹿世の中にはな、陽香みたいなのでも良いっていう変態もいるんだぞ?」


 どういう意味よと思いながらも心配してくれてるんだろうなと感じ理仁の髪の毛をぐしゃぐしゃと撫でて


「うわ何すんだよ」

『ありがと、大好き理仁』


 私の言葉に固まって少し顔を赤らめるとぷいっと顔を背けた理仁に抱きつけばぐらりとバランスを崩した理仁が何とか堪えてくれて


「危ないな!」

『へへ大丈夫だったじゃーん』

 2人でじゃれ合ってクスクス笑いながら


『あ、でもね!陽ちゃん私がママの名前言う前にわかったんだよ』

「陽ちゃん?」

『あ、ママがねそうやって呼んでたみたいなんだよね。日記に書いてあったの。それでね私がママの娘だって言おうとしたらね?紗夜か?って。時間が経ってても、覚えてくれてたんだよ!すごいよね?』

「どんな意味で覚えてたかはわかんねーよ?」

『そうだけど、でも少なくとも私を見て嫌悪感は示さなかったと思うけどなー?』


 次会ったら何を聞こうかな。そんなことを考えながら小さく呟く…

『陽ちゃんだったらいいのにな…』


 呟いた言葉は誰に聞かれるわけでもなく消えていった




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