第5話

「店がなかったらどうしてたんだ?」


『なかったらそのときはそのときって思ってたけど、なんとなくまだあって、ようちゃんもいると思ったんだよね』


 にこにこ話す女の子にまだあどけなさを感じた。

 彼女もこんな感じだったんだろうか。


「そうか」


『ホントは1度来れればいいやと思ってたんただけど、私ここ気に入っちゃったしまた来るね!ようちゃんにも会いたいし』


 女の子の突拍子もない言葉に目を丸くする


「あ?何しに」

『ようちゃんからもっとママの話聞きたいから!』

「ここは未成年はお断りだ」

『えー、ケチ!じゃぁまた開店前に来る!』


 いやそれは迷惑だろと考えながら


「そもそもお前いくつなんだ?」

『この春から高校生だもん。今までずっとおじいちゃんおばあちゃんと住んでたけど、東京の高校受けて、この春上京してきたんだよ!東京の制服って可愛すぎ!』


 くるくると回る女の子に、ハイハイと相づちをうって


「どっちにしても未成年お断りだ」

『じゃぁお店終わる頃!』

「高校生が出歩く時間じゃない」

『おじさんみたいなこと言う』

「おとななんだよ」


 そんなやりとりをしているとどこからか電子音が鳴る


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