昨夜壊された祠です、突然ですが嫁にしていただけませんか?
黒犬狼藉
祠
突然だが、祠が婿入りしてきた。
どうやら俺に拒否権はないらしい、誰か3行で説明をしてほしいところだ。
だが、誰も説明できないので俺が説明しよう。
昨晩、酔った勢いで無数にお札が貼られた祠に車ごと衝突する。
夢だと思いながら朝起きたら、チャイムが鳴ったので出る。
祠が嫁入りする。
うん、わかりやすい。
さて問題だ、どうしてこうなった?
「旦那様ー、ご朝食できましたよー」
目の前で祠が空中に鍋やそのほか諸々を浮かせながら近づいてきた、うんどこからどう見ても祠だ。
誰がどう見ても祠である、具体的にいうならば。
門のようなアレに神社でよく掛かってる白いアレが付いていて、観音開きの扉が閉じている祠だ。
それ以上に何もいうことはない、紛うことなき祠だ。
「ひとつ聞いていい? なんで嫁入りしたの??」
「あれ? 知らないんですか? 今祠界隈で壊されるのがブームなんですけど、どうせなら壊されるだけじゃ面白みがないとのことで何か一捻り加えるのが定石なんですよ」
「壊されるのがブームって……、はぁ? というか嫁入りって……」
「あ、私コレでも結構な年齢でして。やっぱり結婚相手欲しいじゃないですか、其に妹が結婚して煽り倒してくるのも鬱陶しくて。そんな時にこのブームがやってきたので、どうせなら私の祠を壊した相手と婚約するっていうのはどうかと思ったんですよ」
うん、なんか世知辛いな……。
って思うと思ったかッ!? 普通に考えて祠に婚約とか結婚とか妹とかあるわけねぇだろ!? ツッコミどころ多すぎるんだよ!?
そもそも人間との婚約って何!? なんか祠が種族的に反映するとかあるの!?
何なの!? 何なのお前ら!?
「あ、安心してください。私、三十路ですけど処女ですから……」
「ちょっと待て!? お前らってセッ◯スするの!?」
「え、人間ってしないんですか!? どうやって繁殖してるんです!? その股間についている見窄らしいモノはただの排泄器官なんですか!!?」
「お前ちょっといい加減にしろや!!」
おっと、親譲の関西弁が出てしまった。
あー、こんなことになるのなら酒なんて飲まなきゃなよかったなー。
クソが、何なのこの訳のわからない状況。
「というか、婚約を承諾した覚えはないぞ!!」
「え、となれば祠憲法に従って自爆するしか……」
「は、はぁ!!? ちょっと、ちょっと待てよ!?」
俺が叫ぶのも束の間、彼女は白く光り輝き自爆した。
さて、みんな声を揃えて叫ぼうか。
いっせーのーで、
昨夜壊された祠です、突然ですが嫁にしていただけませんか? 黒犬狼藉 @KRouzeki
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