第51話 ディーデレックは信じられへんくらいスベッテしもた
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ニイヤンがライニールと手打ちの儀式をやりに背を向けたらすぐに、
アドリアンちゅう軽薄な男が軽薄な言葉を吐いた。
「ねえ、彼女たち、可愛いね。
仲間外れになった俺たちで昼ご飯食べに行こうよ!
美味しい店を知ってるぜ。
あっ、俺たちは王都最高最強のパーティ『ブルースカイ』の
クランに入っている新進気鋭Cランクパーティ『ブルーレンジャー』だ。
このスカーフはクランの仲間でも、選ばれたパーティにしか、渡されないんだぜ!
俺たちは、王都に無事帰れば、ダンジョンに入れるようになるんだ。
17歳でだぜ?どう?俺たちと美味しいモノ食べに行こうよ。」
チャラい5人はブルーのスカーフを得意げに見せびらかしよった。
「お婆ちゃんの昼ご飯があるから。」
ワイはそう言って、みんなと一緒に背を向けたら、
『ブルーレンジャー』の連中は毒を次々と吐いて来よった。
「君たち、知っているかい?
あのハーフオークは俺たちのリーダー、アルナウトさんに決闘を
申し込んでボコボコにされたんだぜ!」
「そうそう!それに、エステルっていう女に「僕を捨てないで!」
って泣いてすがったんだぜ!」
「あの尻軽女はすっかり、アルナウトさんに堕とされていたのにな!」
「ハーフオークだからな、人の気持ちが分かんないんだよ!
「「「「「ぎゃははははは!」」」」」
「・・・」
「ちょ、待てよ!」
ワイらは愕然としながらも、軽薄男どもを無視して帰った。
帰りながら、トリクシーが色々と訊いてきたけど、もう、ニイヤンに話してもらおうってことになったんや。
どういうことや?あのエステル様が尻軽女って・・・
ニイヤンが、「僕を捨てないで!」って泣いてすがったって・・・
2時間ほど経って、のほほんと帰ってきたので、ワイらはとりあえず、ニイヤンを正座させた。
「ニイヤン、さっきの軽薄男が言ってたで。
エステル様とアルナウトってヤツとニイヤンのことを。」
「リュー兄ィ、アタシたちもエス姉ぇとリュー兄ィのこと、ちゃんと聞いてなかった。お願い、教えて。ホントのことを。」
「リュー兄ィ!」
ディアナが、アレッタが、ニイヤンに縋りついた。
ニイヤンの顔は青ざめたけど、一つ、肯いて王都での出来事をぼそぼそと話し始めた。
・『三ツ星』は順調にBランクにあがって、60階を突破した。
・61階からは危険なので、臨時メンバーでハンネスっちゅう斥候を雇おうとしたが、突然キャンセルされた。
・初めての62階で、ダミアン様は罠にかかり、レッドキャップに襲われ、
ニイヤンとダミアン様は大けがを負った。
・そこにハイオーガが現れ、ニイヤンとダミアン様はエステル様を逃がし、
二人で戦った。ダミアン様はハイオーガの目をつぶしたものの、殺されてしまった。
だけど、ニイヤンがダミアン様の仇を討った。
・ハイオーガを殺ったニイヤンは代わりに右足を失っていた。
だけど、エステル様がアルナウトのAランクパーティ『ブルースカイ』を
呼んできてくれて、彼らの超級ポーションを使って、ニイヤンの右足は治った。
・超級ポーションの代金の代わりに、エステル様が『ブルースカイ』に
1か月間だけ加わった。
・その間、ニイヤンはエステル様と会えなくなってもうた。
エステル様は二人の愛の巣に帰らくなってしもた。
・1か月経った日、二人の愛の巣からエステル様の荷物が無くなっていた!
・ニイヤンが、『ブルースカイ』のアジトに行ったら、エステル様の入会祝い
パーティが開かれていた!
・エステルはニイヤンに、『三ツ星』からの脱退!と、アルナウトを愛している!
と伝えた。
・ニイヤンは、『ブルースカイ』の連中から、「ハーフオーク」だの、なんだのと酷く嘲笑われた!
・アルナウトに、模擬戦で勝てばエステルを『ブルースカイ』入れないと
言われたニイヤンは、アルナウトに挑戦したけど完敗した!
・領都に戻ってくる途中、言葉を話すハイオークを殺した。その時から、力を上手く使えるようになった。
ニイヤンは時折涙をこぼし、言葉につまりながら話し続けた。
特に、ダミアン様が死んでまう話の時はもう、泣きまくりやった。
ディアナとアレッタも同じで、ダミアン様の死に涙を流し、
エステルの酷い裏切りを信じられず茫然としとった。
「領都に戻って、ディアナとアレッタが誘ってくれたから『ハーフムーン』を作ったんだ。最初は何をしていてもダミアンとエステルのことを思い出して、沈んでいたよ。だけど、二人のお陰で楽しくなってきたんだ。
ディーが加わって、トリクシーが加わって、今は最高に楽しいよ。
みんな、俺の辛かった過去をちゃんと話してなかったのはごめんな。
最初の頃は話したくなくってさ、今は忘れていたんだよ。
うん、これで全部かな。」
・・・
・・・
・・・
沈黙が痛いわ。
・・・
・・・
こうなったら、ワイがやるしかないな!
「ニイヤン、童貞とちゃうかったんかいな!あの臭いは童貞やって思ってたわ!」
「なんでやねん!」
・・・
・・・
あかん!
ニイヤンはツッコンでくれたけど、全然、ウケへんかったわ。
スベリまくりや!ワイの人生、最大のスベリやわ!
「・・・リュー兄ィはエス姉ぇのこと、どう思っているの?」
ワイのボケを一切無視してディアナが尋ねると、ニイヤンは眉をひそめていた。
「正直、恨んでいる。もっとやり方があるだろって。でも、だからってなあ・・・」
恨んどうけど、嫌いになれんのか?
いや、まだ好きなんか?そうなんか?
だから、ワイらに手ぇ出さんのか?
「王都に行くけど、その『ブルースカイ』がいるけど、どうするの?」
「ギルドの受付場所が違うからあんまり出会わないと思うよ。」
ニイヤンは淡々と答えたけど、ディアナの声は大きなった!
「でも、下っ端どもが向こうから絡んでくるんでしょ!
さっきだって絡んできたじゃない!」
「そうだな・・・飛んできた火の粉は払おうか。思いっきりな。」
ニイヤンはようやくいつもの調子を取り戻し、どう猛な笑みを浮かべた。
いやん、好っきやねん!
言わんとくけど。
ニイヤンが調子を取り戻したら、ディアナの表情も柔らかくなった。
「ヴァルドゥス商会との話はどうなったの☆」
「2日後の日の出に出発だ。王都までは1か月くらいかかるって。
ブルー・・・なんだっけ?あいつ等とは仲良くできないから、
100メートルほど後ろをついて歩くことになった。
報酬は無し。イヤになったら、いつでも袂を分かつ。これでどう?」
「いいよ、それで。ちなみに、商会の息子とあの女はどんな感じだったの?」
「ライニールな。彼は優秀な商人っていうカンジだ。
俺たちは、市長たちの大事な客人だから大切にしてくれると思う。
女の名前はツェツィリア。『スパイス・レディース』っていう
Bランクパーティのリーダーで、時々、商会の護衛をしているそうだ。
彼女の他の4人のメンバーが、妊娠したとかで休憩中だって。
それで、代わりにギルドから派遣されてきたのが、『ブルーレンジャー』だってさ。」
「女はどんなカンジなの?」
ディアナの口調が少し怖い。女を敵視しとうみたいや。ワイもやけど。
言わんとくけど。
「ああ、少しだけ二人っきりになったけど、丁寧だったよ。
まあ、上っ面だけって感じたけど、あのバカどもに比べたらずいぶんマシさ。」
「あのバカどものことも教えてよ。」
「『ブルースカイ』と同じで、魔法戦士6人だそうだ。
ダンジョン攻略に特化したパーティで、
野外は向いていないってツェツィリアが言ってた。」
ディアナが目を見張っていた。ワイもへ~って思った。
言わんとくけど。
「魔法戦士6人って!斥候がいなくて大丈夫なの?」
「王都へは大きな街道を通るんだけど、時々、兵士たちが巡回しているから、
魔物に遭うことも少ないし、盗賊なんか滅多にいないんだって。」
「・・・それなのに、Bランクを雇って、
バカどもと仲が悪いアタシたちに一緒に来て欲しいっておかしくない?」
そうそう!ワイもそう思っとったわ!
言わんとくけど。
「なるほどなあ。もしかしたら、超高額な何かを持っているってことか。
マジックバックを持っていたら、何をどれだけ持っているか分からないもんなぁ。
まあ、いつもどおり、気をつけて行こう。」
ニイヤンがそう〆て、ワイらはまた、ちょっと仲良うなって王都への準備を始めたんや。
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幼なじみ恋人を最強ハーレムパーティのリーダーに寝取られた俺だが、 妹ハーレムで作ったパーティで、真の最強パーティの座を寝取ってやった。 南北足利 @nanbokuashi
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