第6話

挟まれて、逃げ道を失ったところで...


「逃がすかよっ!」

片割れが加速して、突進してくる。

思わず、反対側を見るがこっちには向かってきてはいない。


どうにかして、こいつの後ろを...


「はぁっ!!」

俺が間合いに入ったのを見ると、突進してきた男はそのまま殴りかかってくる。

なんとか、片手で攻撃をいなし、そのまま位置を入れ替える。


後は、大通りに────

ちょっと待て...それだと目的を果たせないんじゃないか

大通りに出れば、人混みに紛れることは可能だが、もう一度潜入することは無理だろう

すぐにでも、こいつらは上の人間に報告するはずだ。

守りが堅くなれば、一人での突破は不可能。


仕方ない、もう一度上を目指すしかない。

「待てよっ!」

すぐに、俺の方へ明らかな殺意を向け、諦めることなく突進してくる。



マティアスさんには、奥の手だと言われたが仕方ないな

なんとか初撃をかわし、背負っていた大きな袋からネックレスを取り出し、力強く握る。


「それは...まさか!」

今まで静観していた男が大きく声を上げる。

それもそのはず、このネックレスは宝具の一つ。

宝具とは、特殊な力を持った道具なのだが、物によって能力は全然違う。

指輪や、ネックレス...その他形も様々だし、魔法が発動するものもあれば...


「相手の魔法を封じることも出来る!!」


これで、厄介な魔法は封じた。

後は上るだけ!

「行かせるなっ!」


「当たるかよっ!」


攻撃が迫っている中、ロープを取り出し、大きく跳躍する。

そして、体は落下しようとする最中...

なんとか、ロープの先端の鎌のような部分を屋上の出っ張りに引っかける。

そして、そのロープを使って上へ。


さっきとは違って、ゆっくりしてる暇はない。

時間をかければ、結局大通りに逃げたときと同じ結末だ。


「急ぐぞ、鍛錬を思い出せ!」

何回、ロープの訓練をしたか..もう思い出すことすら出来ない。

体には上り方が染みついている。


俺は、最初は暗殺者になんてなるつもりはなかったが、想像以上に体は...暗殺者として活動するためのものになってきているらしい。


この調子なら、間に合うぞ...

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暗殺者、気づけば世のため、人のため @kana93738483939822

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