私がいなくなっても構わないと言ったのは、あなたの方ですよ？

第6話

「びっくりしましたよミーナ様…。まさかご自身が王室令嬢であるだなんてうそをつかれるだなんて…」

「まぁ結果は一緒なのだから構わないでしょ？王室令嬢の彼女と私は幼馴染で、以前から深い親交があったわけだし」

「もちろんそれは心得ているのですが、しかしまさかそこまで世界を広げられてしまわれるとは…」

「だって、レイノーのようなプライドだけの男をわからせるには、あれくらいしてあげないとダメだもの。クライス、あなたもよく頑張ってくれたわね」

「いえいえ、私はミーナ様からご命令をいただいたとおりに働いただけですから」

レイノーがミーナとの婚約を破棄したことから始まった今回の一件。

しかしその裏にあったのはただの婚約破棄という単純なものではなく、さまざまな角度からいろいろな人物の思惑が交錯した結果の結末だった。

…そこに最初から王室がかかわっていたのか、それとも途中から楽しくなってしまったミーナがそれらを演出したのは、すべては彼女に近しい者のみが知る秘密である。