第33話

少しだけ息を止めて、吐いて。



「……仕方ないね。無茶しないように見守らないとだ」


やれやれと肩を落とした三貴に、煙草を纏った吐息を吐き出しながら反論する。


「それこっちのセリフだろう。

……あの人のこともそうだが、あの子たちや樺月の坊主、あとその下のヤツらが無闇矢鱈に沈められてるってんではらわた煮えくり返ってんの、お前もだろ?」



おや、お見通し。

なんておどけてみせる三貴に何度目か分からない呆れた目を向けて、貴方はそういう奴だよ、と笑う。


「さて、話は以上か?」


「そうだね。紅華ちゃんの様子を見に来たのと、朝比奈のことが聞きたかったからね」


「どっちが本題なんだか」


「どっちだと思う?」


「……さァ。

相変わらず掴みづらい性格なことで」



思わずそう零せば、


「君は、変わったよ」


なんていつも通りの音の中に少し寂しさを含んだ声色で言われる。でも、そんなものは聞こえていないというように、瞳を閉じて黙認した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

紅ノ華 恋弥 @Reeenya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ