第3話 家に入れナイト(2)

前回のあらすじ


 家がダンジョン化して寝場所を追われた主人公アリシア。一縷の望みをかけて倉庫に入ると、ダンジョン化の影響を免れていた!

 しかし、汚いのでやっぱり野宿……と考えていたら、外はバッキバキの暴風雨!

 狭汚い倉庫(自業自得)の中で、今夜の寝具は見つかるのか!?


◇◇◇◇◇◇


 絶望的な気持ちの中で、くるまるための寝袋はすぐに出てきた。学生時代に泊まり込みで作業していた時に使っていた徹夜セットを見つけたのだ。

 残る重大な問題は寝るためのスペースだ。


 この汚倉庫に、果たしてスペースはできるのか。それが問題だった。床に平積みされた家庭菜園用の肥料。また使うかも、という思いの元ため込まれ奥の方で積みあがっている学生時代の参考書。卒業旅行で買った意味不明のトーテムポール。友人とノリで作った見た目だけ派手な魔道具。エトセトラ、エトセトラ……。


 とにかく無秩序に入れてある。整理整頓をしてこなかったツケが回ってきている。このままだと私は立ったまま、あるいは三角座りのまま寝ることになる。それは不可不可の不可だ。

 自慢ではないが寝相の悪さには自信がある。多分、寝ているうちに何かに当たり下敷きになる可能性が否めない。せめて寝ころばせてほしい。


「くそぅ……。これも全部勝手にダンジョンになる家が悪いんだぁ……」


 今日、街に出た段階で不動産屋にクレームを入れるべきだった。多分、何かしらの法に違反しているだろうし。代わりの宿泊施設を手配してもらえたかもだし。


「はぁ。過ぎたことを気にしても仕方ないのは分かってるけどさぁ……」


 とりあえず、さっき倒した棚を立て直そうと比較的平たい肥料の上に乗る。飛び石のように移動していけば、良い感じに棚を元通りに直したり、放置している収納スペースが見つかったりでき……。


「肥料、ふかふか?」


 足裏に伝わる感覚が、想像より柔らかであったことで閃く天啓。

 肥料の袋を崩して並べる。その上に学生時代に使っていた寝袋を掛けてみる。ドアの前の床はは塞がったが、隙間なく敷き詰めたことで狭めに寝転がることはできる。

 おそるおそる寝袋の上に寝転がってみる。


「か、硬くない!」


 試しに寝袋を開けて中に納まるとすぐに眠気がやって来た。今日は出来事が多すぎた。多分、その疲れ。


「やば。魔石ランタン、消さ、ない、と……」


 魔石も安くないエネルギーだ。寝ている間に使わないなら節約したい。しかし、追いついた眠気にあらがうことはできず。私の意識はそのまま、夢の中へ旅立っていったのです。

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自宅のダンジョン化は突然に…… ~錬金術師のミラクルダンジョンライフ~ 先崎 咲 @saki_03

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