第3話
巨大化して、雲付くような偉容の、異様な怪物にメタモルフォーゼしたリュウヘイは、のっしのっしと、行く手の村の田畑や家々をすべてぐちゃぐちゃにしながら、悠然と歩き去りました。
”巨大怪獣モングラー”が、突如として平和な田園地帯のただなかに出現して、途中にある様々な人類の構築物をすべて破壊しつつ、闇雲に?行進し続けている…というニュースはたちまち日本中、いや世界中にひろまり、人々の口の端を、駆け巡りました。
「ゴジラ」という和製の怪獣が、「GODZILLA」としてハリウッド映画にまでなったりしたのも、人類の普遍無意識の奥には、超古代にマンモスやチラノサウルスとかの巨大爬虫類とかと戦いを繰り広げたことの、そういう畏怖の念が眠っていて、 それが現実化されることで、一種のカタルシスや興奮を喚起するのだろうか?
カフカの「変身」のテーマは「不条理」で、つまり、ザムザ氏の身に起きた、身もふたもない、合理的な説明のない、ひたすら無意味で悲惨な現実…それが現実というものの実相ではないか?そういう問題提起なのだろう。
しかし巨大怪獣の破壊や殺戮の場合には、たぶん、一種の爽快感がともなっていて、それでシネラマとして大衆受けする。日常の異化としてセクスやバイオレンスのテーマのエンターテインメントが人気を博するのとそれは同様だろうか…
道徳や法律やで雁字搦めにされている現代の文明社会に棲息するがゆえに、マンカインドにはそうした日常の澱を凌駕する、浄化する「ケの空間」とは異次元の、「ハレの空間」が必要で…
したり顔で解説している、作者のワタクシの、その意図すら、遥かに凌駕するスピードで、しかしモングラーのメタモルフォーゼは意想外な方向と速度で、あさっての方角に光速のスピードで
随筆・「配所の月」 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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