第2話
目の見えない、
もう、それは盲目的な衝動?そのもので、猪突猛進に無闇矢鱈に行き当たりばったりに少し甘露なさつまいもの汁を味わうことのみを目的に成り立っている摂食行動が、リュウヘイの存在そのものでした。
が、この畑にも、とうぜん所有者の農夫がいて、「困ったモグラ野郎だ!何とか退治しないとなー」と、知恵を絞って、あげくモグラ用のワナをしかけることにしました。
(これはアマゾンのプライムセールにワンクリックで買えました。ポイントがたまっていたので実質ロハでした。)
それは余談ですが、?さっそく仕掛けたそのワナですが、そのとき酔っていた農夫は、目印を立てるのを忘れて、で、ワナ自体がどこだったかもすっかりすっ飛んで、わからなくなったのです。
三日後、いつものようにひたすらトンネル工事をしていたリュウヘイは、不意に「ガチャン」と音がして、そのモグラわなに閉じ込められた!
「?…!あれ?困ったことになったぞ!狭い檻みたいな何かに幽閉されたみたいだ。出口はないぞ!このまま出れないと飢え死にするな」
モグラ語を翻訳?すると、こういうことをリュウヘイは、アセアセと冷や汗もので焦りつつ、
しばらく、悪戦苦闘、孤軍奮闘、したけども、脱出はならず、リュウヘイは、やがてあきらめの境地に達した。そうして、疲れ果てて寝てしまった。
夢の中で、哀れな地下の底辺階層のモグラは、甘いイモの露をたっぷり含んだ収穫のカンショをむしゃむしゃやっていました。
目が覚めると、空腹のままで辛かったけど、轟轟と、車軸を流すような雨の音が聞こえました。あたかも台風到来シーズンだった。
腹は減るし、雨で寒いし、絶望的な気分。また、うとうとして…どのくらい寝たのかわからないけど、目が覚めると頭の上には豪雨で泥が流れたせいで、ぽっかり穴が開いて、そこからくっきりした夏空がのぞいていた。
泥が水で流れて、シャワーを浴びたようにショウヘイは身ぎれいになっていました。
寒かったけれど、見えなかったはずの両目は、雨で洗われて、で、いろんな刺激を受けたせいでか、うすぼんやりと光を感知できるようになっていた。
「そうか、ボクは
と、最底辺のモグラなりに成り行きに納得して、外の世界というものの珍しさに、小さなマナコをパチクリさせていました。
閉じこめられて、食えなくなって、もう死ぬだろうけど、そのかわりに外の世界というものの、珍しさに触れることができた…よく道理を飲み込めないなりに、なんだか「持って瞑すべし」というような気分もリュウヘイにはわいていたのです。
所在なく、空腹のまま、外の色や音や空気の感覚の刺激で、これまでにないほどに冴えた五感と頭で、リュウヘイは頭上に広がっている光景を眺めていた。太陽が出たり、雲が流れたり、鳥がよぎったりした。
飽きずに眺めていると、 いつのまにかぽっかりと青い月が出ていて、満月でした。”月”というものだとは知らず、ただ、世の中にこんなにまん丸で美しい色をした造形物があるとは!みたいなプリミティヴな驚きで、リュウヘイは、糸くずみたいな目を見開いていた。
リュウヘイは、
… …
満月というものが、動物の生理に不思議な作用を及ぼすという、そういう言い伝えは多々あって、「狼男」も、そのひとつです。フルムーンの月光を浴びると、呪われた血が反応して、平凡な貴族が、醜怪な人狼モンスターに変化してしまう。
あるいは、死に瀕していたちっぽけなこのモグラの身の上にも、造化の神様が憐れを催したのでしょうか?
…次の刹那、リュウヘイの身の上に奇跡が起こったのです!
見よ!
魅せられたように、そのスーパームーンを眺めてたリュウヘイの全身の細胞に、どよめくような不思議な戦慄が走り、痙攣とともに、奇跡的なメタモルフォーゼが起こったのです!
霊妙で精妙な、青い神秘の月光が、モグラの”変身”のための培養液、温床の役割を果たし、次の瞬間、「グワワワワー!」というものすごい轟音とともに、小さな檻をぶち壊し、宏壮だった畑もぐちゃぐちゃにしつつ、リュウヘイは、巨大な怪獣”モングラー”に変異を遂げていた!
「GUOOOOOOO!!!」…地面を轟かせつつ、血走った眼をしたモングラーは、ものすごい咆哮をなした。
…さて、この話はどうなるのだろう?
作者も心配です?w
<続く>
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