第3話 ふつうのシャーペン2
「普通のシャーペンください」
70代くらいの女性。
普通のシャーペンを求められたら、クルトガを推すようにしている。
なぜなら、僕が小説のアイデアノート一冊書いたときに”クルトガで書くと疲れなかった"という実績があるからだ。
だが大抵、普通のシャーペンを求める子羊にはクルトガは響ない。
”自動で尖り続ける”ことにどんなメリットがあるか想像できないのだ。(尖り続けることで、人が無意識に持ち方を調整しなくてよいから疲れない)
クルトガに反応しないときは、一応ドクターグリップを見せる。
が、これも年配は反応しない。
鉛筆世代には異様に太く見えるからだ。
あとは、芯が折れづらいなどの特徴をさらりと挙げる。(本当はノックがいらないとか斬新で僕ですら馴染めないのもあるが、自分が馴染めないものは年配には勧めない)
どの特徴にも反応がなかったら、価格で話す。
このお客さんは、「こんなに種類があるのねぇ……」と言ったので、限定デザインを見せた。
「本当にどれでも良ければ、あとは見た目の好みですね。今どき文具店で売ってるやつで質が悪いのはありませんから。この辺りは限定デザインで、ここにあるだけです」
シャーペンやボールペンは、定期的に色やデザインを変えたもの、コラボものが発売される。
「いや、迷うわねぇ……」
「この辺り可愛いですが、可愛すぎますかね?」
「ええ、だってもうおばあちゃんだし……」
「キャラクター柄だとそうかもしれませんが、色くらいならパステルも悪くないと思いますよ」
「あらそう? どうしようかしら」
「どうぞごゆっくり見てください」
(レジにて)
「これにしました」
まさかのディズニーキャラクターw
可愛いw
「もうおばあちゃんだし、いいかと思って♪」
「好きなのを使うのが一番ですよ!」
おばあちゃんの背中を押せて良かった。
シャーペンくらい、自由でいたいよw
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