第2話 ふつうのボールペン

「普通のボールペンをください」


これもそこそこ問われる。


”おまけでもらえるような書ければいい”程度のものを想像しているのではないかと仮説を立てる。


40代男性との会話……



「油性がいいですか? 水性がいいですか?」


この二択で答えられる人はまずいないのに、聞いてしまうのは僕の悪い癖だという自覚はある。


「油性は書いてすぐ乾きます。水性は乾きがちょっと遅いですが、軽い力で書けます」


「書いていて疲れないのがいいんですが……」


「(へえ、普段たくさん書くのか、手が疲れやすいのか。とはいえ……) シャーペンなら疲れないグリップというのもありますが、ペンでそういうのをウリにしてるのは聞かないんで、書き心地が軽いものがいいのかもしれません。油性なら、ジェットストリーム。水性ならSARASAはどうでしょう。お試しありますよ」


(試し書き)


「ああ、なるほど。水性の方がいいかな……しっかり書けるし。これください」


「(”しっかり書ける”ってなんだ? 案外さらさら書けない方がいいのか? でも水性選んでるな。発色の良さか?) もし色の濃さがはっきりしてて良かったなら、ユニボールワンも書いてみませんか? ギネス認定の黒さで、他のペンの黒よりももっと黒いです」


「あ、本当だ。こっちもいいですね。じゃあどっちも買います」



色路線は当たりだったようだ。


普通のボールペン110円もあるけど、売上トップレベルのペンとギネス世界一のペンをお手にとっていただけました。


疲れやすさは軽減するはずですよ!

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