第4話 灰色の画用紙

「この色の画用紙をください」


見本として持ってこられた濃い灰色と薄い灰色の髪。


専門店ではないが、紙類はそれなりにある。


画用紙コーナーに一緒に行き、見本として持ってきたものと比較するが……完全一致はしなかった。


お客さんの持ってきた紙は折り紙で、画用紙より折り紙の方が色味が繊細だがら一致は難しい。


「見本と比べると、ここにあるのは茶色っぽい灰色と、青っぽい灰色ですね……。本当にその色じゃなきゃいけないなら、専門店ですね」


「似てる色でいいんです。妻が、病院でトトロを作って貼るためなんで」


なるほど、トトログレーか。


「薄いグレーは、お腹の部分ですか?」


「そうですね」


「じゃあ、組み合わせ的にこうかな、と」


「うーん、こっちのグレーが近い気がするのですが」


「それはグレーではなくて、銀色ですね。ここでみるから色味は似てるように見えますが、遠くから見たら、トトロが光って見えるかと」


きらきら✨✨


浮くなw


「そうですか……でもやっぱり、色が近いのはこれですよね」


「そうは見えますね。ただやっぱり……たぶん光って見えます」


トトロが✨✨


浮くよ絶対w


「そうですね、じゃあこの組み合わせで買っていきます」


銀色買ったら、奥さんに怒られてたかもしれないw



病院のほかにも、学校、保育園、子ども会、老人ホームなど、工作のための物を買っていく人は多い。


そういう風に楽しもうとか、元気付けようとか。


そんな気持ちっていいと思う。

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