がらくた置き場

舞原 帝

非常口 ~ピクトを知りたくて~

逃げる事に必死な君 その先に何があるというのだろうか

見る度逃げてばかりで どうしようもなく 君が臆病に見える


君はいつも涼しい顔をして いや 無表情で

友達を危険に晒す  ――グラグラグラ

「揺らすなって!」 って言ってる友達の言葉を聞いてはいるのだろう

だけど  ――グラグラグラ

きっと 君の友達の怒りは頂点に達しているよ


君は開け放たれた扉に向かって 何かから逃げるように走っている


ある時 君は僕らの道しるべになり 僕らが困り果てていると

「地震だ、こっちに来い」 とか

「火事だ、そっちは危ない」 ってすごく頼もしくて カッコイイ

ごめんね ずっと君が逃げてるものだとばかり思ってたよ

そんな君はとても緑で  ――何かの役でもやってるの?

変だな そう言えば 君を街で見かけた  ――それ、ファッション?


緑ざめた君は 地震でも火事でもないのに走っている

「止まりなよって!」 って言ったって君は聞く耳を本当に持っていないから 走り続けるだろう

君が扉を走り抜けた姿を見た事がない でも それでいいのかもしれない

もし 開け放たれた扉を君が走り抜け 扉を閉めてしまったら 僕らは困り果ててしまうから


君が揺らし続けて何年経つかな?

君は気付いていない 君の友達

「揺らすなって!」 って言ってる言葉に殺意を込めだした

――グラグラグラ


逃げる事に必死な君 その先なんて君は考えられない

とにかく開け放たれた扉に急ぐ 扉の前まで走ってきても 君は走り抜けない

僕らのために 君は待っててくれた だけど

ついに君は一歩踏み出した そして 扉を「ガチャリ」閉めてしまった

君は自分のために扉を閉めた

僕らは困り果て 裏切り者の君をどうしようもなく呪うしかない

でも 僕ら以上に君を恨んでる奴が もうすぐ 君の走り抜けた扉を蹴破るだろう

君が閉めたその扉は 「非常口」 被苦人ピクトが逃げるための道しるべ

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