第10話 「勇者様と聖女様」
「はい、あーん」
「あーん」
学校から帰ってきた俺は、隣に座っている幼女にクッキーを食べさせる。
この幼女は、俺の妹のロベリーである。 今年で三歳になる女の子で、両親譲りの黒髪とお母さん譲りの水色の瞳をしている。
「にぃにもあーん」
「ん、あーん」
ロベリーが差し出したクッキーを食べる。 うん、美味しい。
現在、お父さんは仕事に行っており、お母さんは家の周りを掃除している。 ねぇねは分からん、帰ってきたときには家にいなかった。
「クッキーなくなっちゃった……」
クッキーが無くなった皿を見て、ロベリーが悲しそうに呟いた。
「うん、これ以上食べたら晩御飯が食べられなくなるから、我慢しようか」
「……うん」
「その代わり、何かして遊ぶ?」
「うん!」
とりあえず、ロベリーと遊ぶことにする。
「にぃに、これ読んで!」
「うん、いいよ」
ロベリーが絵本を持ってきたため、それを読み聞かせる。
絵本のタイトルは「勇者様と聖女様」――
昔々、西の方に人間を滅ぼそうとする悪い魔族の王がいました。
魔族の王は魔王と呼ばれ、魔族や魔物を従え、人々を襲っていました。
人々は、魔王の脅威に怯えながら、暮らしていました。
ある日、一人の青年が神様からジョブ「勇者」を授かりました。
青年は自身を「勇者」と名乗り、人々を襲う魔族や魔物を倒す旅に出ました。
勇者は強力な光魔法と剣術で人々を助け、人々は勇者に感謝をしました。
ある日、一人の少女が魔物に襲われていました。
そこに勇者が駆け付け、魔物を倒し、少女を助けました。
少女は勇者に感謝し、勇者の力になりたいと言いました。
最初、勇者は断りましたが、少女の熱意に押され、渋々承諾しました。
旅の最中、勇者と少女は洞窟の奥で淡く光る不思議な剣を見つけました。
勇者がその剣を持つと、剣は光り輝きました。
不思議な剣は少女が持っても光り輝きませんでした。
不思議な剣が放つ光は魔物を滅しました。
人々は不思議な剣を「聖剣」と呼び、勇者は聖剣を使うようになりました。
勇者と少女は、魔王がいる魔王城に着きました。
勇者は魔王を倒そうと、勝負を挑みました。
ですが、魔王の力は強大で、歯が立ちませんでした。
魔王は、勇者にトドメを刺そうとしました。
そのとき、少女は神に祈りを捧げました。
その祈りは届き、少女からまばゆいほどの光が放たれました。
少女は強力な魔法を使い、勇者を助けました。
そして、勇者に魔力を分け与え、勇者はその魔力を使い、見事魔王を倒しました。
こうして、世界は平和が訪れました。
人々は、少女のジョブの名前から、少女のことを「聖女」と呼ぶようになりました。
勇者様と聖女様は結婚をし、幸せに暮らしました。
――俺は、絵本を閉じた。
この絵本は、実話を元に書かれているという。
勇者や聖女、そして魔王か……。 この世界は、ファンタジーな世界だから、驚きはしない。
魔物もこの七年間、何体か見てきた。 例えば、牧場にいる牛……。 あの牛、実は額から伸びている角から魔法を放つことが出来るみたいで、その様子を一回だけ見たことがある。
魔族は、見たことはないけど、今も生き残っているらしい。
「勇者様と聖女様すごいね!」
隣に座っているロベリーが笑顔を俺に向けてくる。
「そうだね。 それに世界が平和になって良かったね」
「うん!」
ロベリーが元気よく頷く。
その後、ロベリーが別の絵本を持ってきたため、俺は読み聞かせをしていると、ねぇねが帰ってきた。
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ファンタジーな異世界に転生したので、ハーレム目指して頑張ります 果物 太郎 @kudamono-tarou
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