第7章 オマケ 日焼けマシンの秘密

 ~ このオマケ編は、拙作「クスっと来る短編集です」の中の「オダジマと日焼け」を、本作向けに改稿したものです。「ボディメイク編の読者は、どうせ短編集なんて読んでないだろうから、まあいいだろ」という判断です。もちろん短編集もよかったらどうぞ。個人的には、その中の「料理人オダジマ」シリーズが気に入っています。~


第7章 オマケ 日焼けの真実


 皆さま。小田島昇です。 

 全日本直前の今、僕は、週2回、日焼けマシンに入って肌を焼いています。1回15分(1100円)で、1ヶ月程度続けると十分黒くなるので、相当強烈な紫外線です。これをコンテスト前は、30分×週2で焼き込むことになります。


 ボディビルやボディメイクの選手が日焼けするのは、黒いほうが筋肉のキレがよく見えるからです。競馬場のパドックで競走馬を見ると良く分かるのですが、白い馬と黒い馬がいれば、同じ筋量でも黒い馬のほうが筋骨隆々に見え、白い馬は筋肉のセパレーションがボヤーっと見えてしまうので見栄えがせず、人気面でも多少差がつくことになります。ということは、コンテストでも黒いほうが有利ということですね。


 日焼けは、日サロではなく、通っているアイアンジムのタンニング(日焼け)ルームでやっています。ジムのマシンは、ベッド型と縦型がありますが、僕はベッド型のほうが好きです。

 というのも、理論上、腕を上げていないと、脇の下が焼け残ってしまうので、15分間ずっと両手を挙げているのですが、縦型だと「捕まった宇宙人」(https://www.j-cast.com/2012/04/25130365.html?p=all)みたいな恰好でずっと立っていなければならず、大変に疲れる上に(たいてい筋トレ後だし)、「なんか間抜けな格好だな‥‥‥」って、情けなくなるからです。


 そういうわけでベッド型を愛用しているのですが、これはいわば巨大棺桶みたいな箱だと思って下さい。タンニングルーム壁の装置にフロントで貰ったコインを入れ、フタをギギーと空けて内部に横になります。もちろん鍵などかからないのですが、誰かが外で「ヒヒヒ、もう出られないよ。」とか言って、ガチャンと閉じられたらどうしよう‥‥‥(怖)、みたいなことを毎回考えて背中がゾクっとします。

 と、そうしているうちにブーンと音がしてライトが点灯して、日焼け開始です。強烈な青い蛍光灯みたいなものだと思って下さい。


 それで皆さんご存知ないと思いますが、基本的にタンニングは素っ裸で実施するものです。そうでないとパンツのところだけ焼け残っちゃうでしょう? そして、上からも下からも紫外線の強力なライトが当たるので、日光浴と違ってひっくり返る必要がありません。ですが、やはり全身ムラなく焼きたいので、横になったり、うつぶせになったり、足を上げたり、いろんな格好をすることになります。全裸でやってますので、はっきり言って結構情けないです。


 日焼けするのは、トレ後も多いですが、朝は忙しいので、学校の帰りに寄ることも多いです。必然的に夕方になるのですが、僕の場合、夕方は昼間食べたものが消化されて腸で発酵するタイミングなのか、やたらガスがたまって、プープー出てきます。

 そうしますと、なにしろ日焼けマシンは狭い密室ですから、しかもファンで空気が循環しているものですから、メタンガスが充満してガス室状態になって呻吟(しんぎん)することになります。これはもう、しょっちゅうなります。

 そういうときは、「ぐはっ! ‥‥‥しかし、フグは、フグは自分の毒では死なない!」などと自らを鼓舞して耐え忍ぶことになります。


 それから、作動中のマシンの内部は強力なライトが点いており、大変暑いです。毒ガス攻撃とともに火責めまで受けるのです。ということは汗もダラダラかくことになります。するとご想像どおり、大変おぞましい感じですが、うつぶせ時には、ある人体の一部の近辺も汗でニチャニチャになってしまいます。


 んが! そんなことは言ってられないのです! 日焼けマシンとはそういうものなのです! 美黒バンザイ! とか言ってる間に15分が経過して機械からピーピーと音が鳴り響き、あれほど眩しかったライトがぱったり消えて、静寂が訪れます。


 僕は、マシンのフタをあげて、ニチャニチャの身体をヌルヌルと外に出し、「フヒー」とか言いながら汗を拭き、部屋に置いてあるクリーナーとペーパータオルでマシンを綺麗にします。

 そうです。意外なことに使った人が自分で清掃するのです。もちろん、入ったときよりも清潔にして出ることを心がけています。「みんながそうしてくれる」という信頼のもとに成り立っている美しいシステムと言えるでしょう。


 どうせすぐシャワーを浴びるので、パンツ一丁でドアから首だけ出し、キョロキョロと確認してから、男子ロッカールームに駆け込みます。そして、パンツ0丁になって、再び「フヒー」とか言いながらシャワーを浴び、サッパリとして帰途に着くのでした。


 

→ 読者の皆様。いつも本作を読んで頂いてありがとうございます。

 次の第8章は、全日本前日のお話しになります。二人の純愛のクライマックスですね。R18レベルになりますので、心して読んでください。


 それではまた。






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