二人の秘密が明らかに。そして・・・

エーリッヒの素早い剣さばきに、傷つけられる女ダークエルフ


「殺せ」

初めて発した言葉。


「よし、殺してやる!」


だがその瞬間。


うっ・・・

ダークエルフは最後の反撃に出た。鋭い動きで、エーリッヒの一瞬のスキをついて

短剣で美しい顔に傷をつけたのだ。


「くそっ!やってくれるな・・・貴様!だがもう終わりだ!」


はぁはぁ・・・・・は・・・ん・・・・・・

体力を使い果たしたのか、横たわるダークエルフの喉に大剣を突きつけ

「これで最後だ!死ね!」


ズブッ・・・・

大剣をそのまま喉へ突き刺した


ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・


返り血を浴びて顔面は真っ赤になったエーリッヒは、まるで鬼神のようだ・・・



「エーリッヒさま。お怪我は大丈夫ですか?」

「はい。問題ありませんフェリシアさま」

「マルグリット、お手当てを」

「承知しました。エーリッヒさま、さあこちらへ」


傷の手当てを受けている間も周囲の警戒を怠らないフェリシア。



ダークエルフが斃れた付近に小さな光る石があるのを見つけた。

「あれは帰還石だわ」その石を取ろうとした時、

奥からもう一体の男のダークエルフが出現した!


「まだいたのね。さぁわたしが相手よ!かかって来なさい!」


女ダークエルフとは一回りも大きいにもかかわらず、瞬発力がハンパない。

短剣を駆使してフェリシアに襲い掛かるが、一歩も引かないどころか押し返している


しかし


うっ・・・

左腕を切られてしまった。

「敵討ちだ!」と黒い覆面をした男ダークエルフが叫ぶ。


男ダークエルフの短剣とフェリシアの漆黒の大剣がうなりを上げてぶつかり合う。

力で勝るダークエルフがじょじょにフェリシアを追い詰めていく・・・


くっ・・・うっ・・・・・・


「まずい!お嬢さま」

「だめ!こいつは私がる!」


壁際まで追いつめられる。


フェリシアが渾身の蹴り!

一瞬身体が離れたダークエルフへ逆襲に転じたフェリシア。


ふん!・・・はっ!・・・・・・くっ!・・・・・・ふ


男ダークエルフを追い詰めていく。


「フェリシアさま!」

動こうとするエーリッヒを

「お嬢さまは大丈夫です。こちらでお待ちを」と押しとどめるマルグリット

「なぜです?」

「もうピンチは脱しましたゆえ」

「?」


フェリシアは大剣を振り、男ダークエルフを逆に壁際に追い詰めた。

「殺せ」

男はだらしなく、短剣を落とし・・・

容赦なく、その首筋に大剣を当てると、


えいっ!

フェリシアがその大剣に力を入れると


シャワァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・


次の瞬間、男の首筋から、まるで噴水の様に血が噴き出した・・


そしてマルグリットが大鉈で心臓を一突き。


男ダークエルフは死んだ。

返り血を全身に浴びたフェリシアお嬢さま。


「エーリッヒさまがお出でになるから折角、鎧を磨いておいたのに・・・」

「良いじゃありませんかフェリシアさま。洗えば良いのだし」

「そうですよ、戻りましたら、私が誠心誠意心を込めて清潔にいたします」


「では、こんどこそ戻りましょう」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


地下の着替え部屋へ戻って来た一行。

「いや、しかしあなたさまは何故、そんなにお強いのですか?マルグリットも」

顔を見合わせるフェリシアとマルグリット。(話していい?)(お気持ちのままに)


「私、じつはラファエル公爵の実の娘ではありません」

「えっ?どういうことですか?」

「わたしの両親は、もともとラファエル公爵家に仕える執事と料理人でした

 あるとき公爵さまから使いを頼まれて、親類の家へ行った帰りに盗賊に襲われ

 二人とも亡くなってしまいました・・・」

「そうだったのですか・・・」

「それを不憫に思った公爵さまが私を引き取り、実の娘の様に育ててくれたのです」

「盗賊に襲われて落命した両親の仇を何時か、討ちたいと思い公爵さまにお願いして

 親類の帝国騎士団にいたアルベルト伯爵さまに教えてもらいました

アルベルト伯爵と言えば泣く子も黙る強烈な個性を持つ帝国騎士団随一の騎士だ。


「なるほど・・・それであのようにお強いのですね・・・」

「マルグリットも同じような境遇でした」


「わたしは隣国オーデルセ王国の出身です。両親は私をメイドとして立派な教育と

 考えメイド学校に入学させました。卒業後この国に仕事を求めてやって来ました。

 そしてお嬢さまのお屋敷で働く事となったのです」

「その時すでにお嬢さまは、騎士として度々ギルドへ出かけてゆきパーティにゲスト 

 として参加してはダンジョンで魔物と戦っていたのです」

「わたしもお嬢さまの様になりたいと思い、お許しを得て騎士学校へ入り直しまして

 お嬢さまについてダンジョンへ入っていくうちに、このようになりました」


二人が騎士としてトップクラスの実力を持つようになった理由が

エーリッヒはようやく解ったのだ・・・


「フェリシアさま、

 やはりあなたはわたしの思っていた通りの方だ。私と結婚してください」

「わたしの様なものでも、よろしいのですか?」

「はい、もったいないくらいのお方です、フェリシアさま」


「解りました。ではよろしくお願いいたします」



帝都ローンルリカの王宮内の教会で二人は結婚式を挙げたあと、

二人はメイドのマルグリットと共にセバスニタウンの領主として生活をしていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「フェリシア。明日は騎士団も公休日だし、ひさびさに行くか?」

「はい!ぜひ参りましょう。マルグリット!あなたもですよ」

「今回は挙式後初めてですし、お二人だけで行かれては如何ですか?」

「いいのかい?マルグリット」

「ぜひ、お二人で。もしもの場合はお助けに参ります」


「では行ってらっしゃいませ」

「留守を頼むよマルグリット」

「承知いたしました」


エーリッヒは濃紺の鎧にダークブルーのマントを新調し、

フェリシアも同様、赤い鎧にゴールドの縁取りの鎧を新しく作らせていた。

「よく似合うな、そなたはやはり赤が似合う」

「エーリッヒさまこそ、よくお似合いですよ」

「では、参ろう」

「はい」


二人仲良く、マルグリットの見送りを受けてダンジョンへ突入するのだった。
















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訳アリお嬢さまと一風変わったメイド 重巡利根 @83012086

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