第3話 わたしのわざと

そんな中、私は、料理中に、包丁で手を切った。

その時、意外にも誠は、すごく焦って、私を、とても心配した。


私は、気づいてしまった。

誠の愛を私に注がせる術を。


それから、私は、わざとケガをした。

その度に、誠は、心配して、私を大事に扱った。

夜遊びも後回しにしていた。


面白いくらいに、私が、負傷すると、誠は、

私を大切にする。


私は、心の中で笑っていた。


誠は、それに、多少の違和感を感じたようだった。


そして、ある日、いよいよ、もう残された方法がなく、

子供と二人で、歩道橋の上に立ち、下を見下ろしていた。


「お母さん、こわいよお。」


翔太が言った。


この、死ぬか死なないかの瀬戸際に、

誠は、やっぱりやってきた。


「美緒!翔太!死ぬなよ!もう遊びはやめるから!足洗うからさ!お願いだ!頼む!」


誠の言葉に、私は崩れ落ちた。そして、わんわん泣いた。

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わたしのわざと 慈雨 @beniya87

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