燃ゆる

小学生の時分であろうか。その時読み進めていた小説で初めて「焼死」と言う概念に出会った。その本が云うには、「焼死とは、肌が爛れ、筋収縮で全身の骨が砕け、百度を超える空気によって肺が焼ける、数ある死に方の中で最痛の死に方だ。」と。しかし、当時の私はこれに強く疑問を持った。確かに苦痛に塗れた死であることは間違いない。しかし、それはどれほどか。ふと目を上げると、机の上に置かれたライターが目に入った。元来より自殺願望がある少年が知的好奇心に駆られ、そのライターを手に取ったとしても、致し方ないことであろう。結果は私がここで文章を書いていることで分かるであろう。存外フローリングと言うのは燃えないものである。悲しいかな、それ以降両親がライターを家に置くことが無くなった為に、試す機会がない。と言っても、家を燃やす賠償金を理解した今では、毛頭する気もないが。

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死に体 律王 @MD_aniki

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