第44話 ダンジョンへの第1歩㊹

「深紅のカマキリですか、、、光狩さんと九条さんがおっしゃっていたものと同じということでよろしいですか?」


「えぇ、それで大丈夫です。キラーマンティスに似ていたんですけど、あいつよりも全然大きくて強かったです」


「わかりました、それと同時にダンジョンの階層をつなぐ階段が消失し、脱出が不可能になったということですね」


「はい、それでそのカマキリを倒した後に突然影が地面から出てきて、その中からアトラクテッドが出てきました」


「そのアトラクテッドの特徴というか何かなかったですか?」


「特徴ですか、、、自分たちは別にアトラクテッドと何回も戦ったことがあるわけじゃないのでそういうのはわからないですね」


「そうですか、、、そうですよね」


「いや、一つ変なところがあったぞ」


今まで黙っていた九条が突然しゃべり始める。


「どういう点でしょうか?」


「アトラクテッドの尻尾にある再生のために使う鱗が最初っから4枚しかなくなかったか?」


「、、、そうだった気がする」


「普通なら5枚あるはずだ。どっかであいつは一回死んでるってことになる」


「普通にダンジョンの中でセル同士の戦いがあってそこで一回死んだんじゃないか?」


「いえ、アトラクテッドは五つ星級の中でも特殊なセルなので周りにいるほかの五つ星級と戦闘を行ったということはあまり考えられません。それにたとえ戦っていてもアトラクテッドが負けるような五つ星級のセルは同じ生息域にはいないのでセル同士での戦いというのは少し考えづらいです」


「となると、どういうことだ?」


「、、、もしかしたら俺たちと戦う前にシーカーと戦っている可能性があるってことです。しかし、現在蒲田で五つ星級の階級まで降りることのできるシーカーは数えるほどしかいません。それにそのシーカーたちからアトラクテッドとの戦闘報告は上がってきていません」


「となると誰か得体のしれない奴がアトラクテッドを一回殺してるってことになるんだよな」


「この話はイレギュラー対策課の方で議論させていただきます。それでは本日はこれで失礼させていただきます」


そういうと田川さんはお辞儀をしてから病室のドアから出ていった。


「それで、あの時アトラクテッドをぶった切ったのは誰なんだ?」


「あぁ、あれは橘さんだよ」


「橘?橘ってあの最初の講習会で話してたあの楠か?」


「うん。あの楠さんだよ。あの人がダンジョンの壁を粉砕して助けに来てくれたんだよ」


「ダンジョンの壁をぶった切った?そんなことできるのかよ?」


「いや、普通の人はできないよ。でも、あの人は七つ星級のシーカーだからね。日本でもトップクラスの化け物だよ」

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