第43話 ダンジョンへの第1歩㊸
俺の目の前に立っている誰かは飛んでくるアトラクテッドを迎え撃つような姿勢をとると背中に持っていた大剣を持ち上げて構える。とんでもない勢いで突っ込んでくるアトラクテッドとその男性が接触する。
その瞬間男性は構えていた大剣を思いっきり叩きつけるようにしてアトラクテッドに振り下ろす。その大剣はアトラクテッドの頭にもろに直撃するとそのまま簡単に前進を真っ二つに切り裂いた。大剣が振られるとともに発生した嵐のような風はあたり一帯にあった木を折る。
俺は彼がアトラクテッドを真っ二つにしたのを見るのと同時に気絶した。
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「うぅ、、」
長い時間を眠ってたような気がする。目を開けるとそこは見知らぬ天井。左右に顔を動かしてみるにおそらく病院なのだろう。点滴が横に立っているのが見える。さらにあたりを見渡そうとして体を起こした瞬間胴体に鋭い痛みを感じる。
「っぁ!、、」
そのまま一人でもだえ苦しんでいると定期的に巡回しているのであろう看護師が病室へと入ってきた。
「あ!目を覚ましたんですね!」
「えぇ、まだ体は痛いですけど、、、」
「そりゃ、そうですよ。体の骨が何本折れてたと思ってるんですか?後遺症が残っていないだけ奇跡ですよ。それじゃ、私はギルドの人を呼んできますね!」
そういうと看護師の人は急いだ様子で病室から出ていった。少し時間ができたができることは何もない。体を動かそうにも先ほど動かしたときの痛みがまだ引かない。間違いなくまだ骨が折れてるに違いない。
そのままベッドに寝たまま誰かが来るのを待っているとしばらくして何人かの急いでいるような足音が聞こえてくる。そして勢いよく扉が開けられた。
「来宝!大丈夫!?」
「これが、大丈夫に見えるか?」
そういって騒がしく病室に入ってきたのは光狩だ。そして後ろには九条、ギルドの制服を着た女性がいた。
「そういうことが言えるのならそこそこ治ってきたってことだな」
「ともかく本当に無事でよかったよ!」
「それで後ろにいるのは誰だ?」
「申し遅れました。私はギルドのイレギュラー対策課の田川です」
そういうとその女性は深々とお辞儀をする。そして前にしなだれた長い黒髪を手でかき上げるとそのまま手に持っていたカバンからメモのようなものを取り出す。
「それで今回のイレギュラーの様子についてお話してもらうことはできますか?」
「はい」
「それでは今回のイレギュラーは2段階あったという話を聞きますがそれは本当ですか?」
「えぇ、本当です。まずは深紅のカマキリが出てきてそのあとにアトラクテッドが出てきました」
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